おかれた境遇を楽しもう [哲学]
人は須らく快楽なるを要すべし。
快楽は心に在りて事に在らず。
「言志耋録」第七五条
佐藤 一斎 著
岬龍 一郎 編訳
現代語抄訳 言志四録
PHP研究所(2005/5/26)
P210
人間は心に楽しむところがなくてはならない。
楽しみは自分の心の持ち方であって、自分の外にあるものではない。
楽はこれ心の本体である。
王陽明
母(幸田 文)の生きてきた八十六年を考えると、大変だったなと思うことの連続だ。その出れもが、自分の選択の及ばないことが殆どといっていい。
家族の病気も、父親の気むずかしさも、関東大震災も、戦争も、母の心がけでどうにななるというものではない。
そういう避け難い苦労の数かずに母はよくもめげずに切り抜けた。
生まれ持った陽気な性格と気力体力に負うところが大きい。
幸田 文 (著), 青木 玉 (編集)
幸田文しつけ帖
平凡社 (2009/2/5)
P236
惣而(そうじて)病も苦しめば弥(いよいよ)苦しく、安(やす)んずれば少(すこし)は安らかになるものにて候(そうろう)
仏(ほとけ)に成(なる)も餓鬼道へ落るも、苦を得(う)るも楽を得るも、皆我(わが)心に有(ある)ことを能々(よくよく)御(おん)明らめ、今日只(ただ)一向に心をいさぎよく、物に泥(なず)まず滞(とどこお)らず常に楽しめる心にて御暮(おくら)し成(な)さるべく候(そうろう)。
(牛原氏の老母に与える)
中江藤樹 人生百訓
中江 彰 (著)
致知出版社 (2007/6/1)
P122
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