病気は完全否定すべき存在? [ものの見方、考え方]
ヨーロッパの思想では、病気に対する考え方は、根底において否定の精神から出発します。
病気を否定すべき存在だと考える。 そういう考え方で発達してきたのが西洋医学、近代医療なのです。
いまは近代医療が医療の現場に長く君臨してきたため、病気を見つけたらその病根を切除するのがあたりまえになっています。
病気をなだめて、それを内包しながら、どのように共に生きてゆくかということを考えることができません。
五木 寛之 (著)
他力
幻冬舎 (2005/09)
P71
外国人は自分の力で苦難を払いのけようとするでしょう。
外国人は征服するとよく言うでしょう。病気でも、西洋医学というのは病気を征服しようというシステムになっているんです。
日本人にはそういうシステムはなくて、祓いの精神で、病気を征服しようなんていうのは昔は微塵も考えていなかったのではないでしょうか。
葉室 頼昭 (著)
神道 見えないものの力
春秋社 (1999/11)
P207
疾病は実に忌むべきである。しかし疾病の人に存するも、あるいは意義あるように見える。
疢疾(ちんしつ)の身にあるものはかえってその志すところが成るという理は、古人も道破して居る。
~中略~
病が吾人を啓発することは決して少なくない。是の如く観ずれば、自ら招かざるの病に苦むものも必ずしも不幸のみとはいえぬ。
しかしこれは道理は然様(そう)であるにしても、病者に対しては言うに忍びざることである。
(明治四十四年十一月)
努力論
幸田 露伴 (著)
岩波書店; 改版 (2001/7/16)
P154
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