事物を疑って取捨を断ずる事 [学問]
信の世界に偽詐多く、疑の世界に真理多し。試みに見よ、世間の愚民、人の言を信じ、人の書を信じ、小説を信じ、風聞を信じ、神仏を信じ、卜筮(ぼくせい)を信じ、父母の大病に按摩の説を信じて草根木皮を用い、娘の縁談に家相見の指図を信じて良夫を失い、熱病に医師を招かずして念仏を申すは阿弥陀如来を信ずるがためなり。
福沢 諭吉 (著)
学問のすすめ
岩波書店; 改版版 (1978/01)
P154 学問のすゝめ 十五編
~中略~
蓋しこの人民は事物を信ずと雖も、その信は偽を信ずるものなる。故に云く、信の世界に偽詐多しと。
文明の進歩は、天地の間にある有形の物にても無形の人事にても、その働きの趣きを詮索して真実を発明するにあり。
西洋諸国の人民が今日の文明に達したるその源を尋ぬれば、疑の一点より出でざるものなし。ガリレヲが天文の旧説を疑って地動を発明し、
・・・・何れも皆疑いの路に由って真理の奥に達したるものと言うべし。
~中略~
然りと雖も、事物の軽々信ずべからざること果して是ならば、またこれを軽々疑うべからず。
この信疑の際につき必ず取捨の明なかるべからず。
蓋し学問の要は、この明智を明らかにするに在るものならん。
~中略~
西洋の文明は我国の右に出ること必ず数等ならんと雖も、決して文明の十全なるものに非ず。
その欠点を計うれば枚挙に遑(いとま)あらず。
彼の風俗悉(ことごと)く美にして信ずべきに非ず。
我が習慣悉く醜にして疑うべきに非ず。
~中略~
この雑沓混乱の中に居て、よく東西の事物を比較し、信ずべきを信じ、疑うべきを疑い、取るべきを取り、捨つべきを捨て、信疑取捨その宜しきを得んとするはまた難きに非ずや。
~中略~
蓋しこれを思うはこれを学ぶに若かず、幾多の書を読み幾多の事物に接し、虚心平気活眼を開き、もって事実の在るところを求めなば、
信疑忽ち処を異にして、昨日の所信は今日の疑団となり、今日の所疑は明日氷解することもあらん。
学者勉めざるべからざるなり。
疑うことで発想が自由になる。
多くの企業や人が、長年の慣習や常識に流されて、「慣れたやり方=正しいやり方」と錯覚し、見えることが見えない。
「いまやっているやり方が一番よく、効率がいい」と思い込み、できることをやらない。
若松 義人 (著)
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大和書房 (2007/03)
P100
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まず、現在の君の考え方をひとつひとつ点検し、本当に自分でそう考えたのか、人から教えられた通りに考えているのではないか、偏見や思い込みはないか、と考えることから始めてほしい。
偏見がなくなったら、自分の頭を使って、いろいろな人の意見を聞き、正しいか正しくないか、どかが正しくないかを考え、すべてを総合して、自分の考えを持ってほしい。
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三笠書房 (2011/3/22)
P118
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