過去の栄光にすがるな [人生]
この道はただ花が能の命なるを、花の失するをも知らず、もとの名望ばかりを頼まん事、古き為手の、返すがえす誤りなり。
物数をば似せたりとも、花のあるようを知らざらんは、花咲かぬ時の草木を集めて見んがごとし。
世阿弥 (著), 竹本 幹夫 (翻訳)
風姿花伝・三道 現代語訳付き
角川学芸出版 (2009/9/25)
P112
能の世界ではただ芸の魅力こそが最重要であるのに、その魅力がなくなってしまうのも認識せずに、昔の名声ばかりに頼ろうとすることは、古株の役者の、甚だしい誤りである。
数々の演目をこなしても、芸の魅力の見せ方を知らない役者の能は、花の咲かぬ季節の草木を集めて鑑賞するようなものだ。
いまの日本でもっとも頭が固いのは、団塊の世代の男性です。
高度成長期からバブルにかけて甘い汁を吸ってきた彼らは、いまだに過去の自分が正しかったと考えています。
経済がよかったのは自分たちのおかげだと考え、若い才能や新しい価値観を認めようとしません。
そしてこのスピード化の時代に、相変わらず「根回しが大切だ」などといっているのです。
自分の価値観を柔軟に変えられる男性は、そう多くはありません。
北原 茂実 (著)
「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる!
講談社 (2011/1/21)
P189
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過去の栄光にすがってしまうのは、もちろん現状に満足できていないことの裏返しだ。
自分の現状に満足していて、周りも一目置いてくれていたら、誰も過去の自慢話などはしない。
今の自分に満足できずイライラして、自分はこんなもんじゃないんだという、自分自身と周りへの示威行為として自慢話をしてしまうのだ。
和田 秀樹 (著)
祥伝社 (2006/10)
P96
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成功は甘美だけれど、移ろいやすいものであることも父が教えてくれました。影響力や権威、力のある立場に立てば、おおきな恩恵も受けられます。ところが、その地位を去った途端に、そうした特権は消滅してしまいます。
「力」は地位に由来します。その地位を外れた途端に、すべてがなくなってしまうのです。だから、自分自身をいまの地位と結びつけてはいけないし、周りの評価も鵜呑みにしてはいけません。
脚光を浴びたときは大いに楽しめばいいけれど、時機が来たら、主役を譲る覚悟がなければいけません。
20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
ティナ・シーリグ
(著), Tina Seelig (原著), 高遠 裕子 (翻訳)
CCCメディアハウス (2010/3/10)
P212
太師は(住人注;魯の太師の金)さらに次のように語る。
「水上を行くには船を用いるにこしたことはなく、陸上を行くには車を用いるにこしたことはない。舟が水上を行くことができないからといって、それを陸上で推して進ませようとするならば、一生かかっても、わずかな距離しか動かせないだろう。昔と今は水と陸のようなものではないか。
周と魯は船と車のようなものではないか。昔の周の政治制度を今の魯で行おうとするのは、舟を陸上で推して進ませるようなものだ」
政治は時代に応じて変化するものであるという趣旨は、法家の韓非も著「韓非子」にも見られる。
「五蠹(ごと)」中の「守株」の話が一例で、宗の農夫が、たまたま木の切り株にぶつかって死んだウサギを手に入れたため、それから耕作をやめ、もっぱら切り株を見張って、再びウサギを得ようと願ったが、ついに得られず、国中の笑いものとなったという話だ。「先王の政を以て当世の民を治めようとするのは、みな守株の類である」と韓非は指摘している。
老荘思想の心理学
叢 小榕
(著)
新潮社 (2013/02)
P65
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