「仕方がない」と諦めて「水に流す」 [日本(人)]
「日本人はいつに変らぬ陽気さと暢気さを保っていた。不幸に襲われたことをいつまでも嘆いて時間を無駄にしたりしなかった。持ち物すべてを失ったにもかかわらずにである」
スエンソンは日本人の勇気と沈着に感心し、「日本人を宿命論者と呼んでさしつかえないだろう」と結論しています。
エド幕末滞在記 若き海軍士官の見た日本人
スエンソン(江戸末期に日本を訪れたデンマーク人)
養老 孟司 (著)
超バカの壁
新潮社 (2006/1/14)
P129
「一年前に私は「日本化」という言葉を使いましたが、日本人が大事にしているメンタリティーや習慣の中には、教わり学ぶ、という人と人のよい関係を妨げる要素もあるようですね。
無論、そういったものは時代を経て変わっていくものですが、一つ例を挙げれば”曖昧さ”でしょうか。私は日本人に、あまり責任や原因を明確にしないまま次に進もうとする傾向があるように思います。
私には、日本人の選手やコーチたちがよく使う言葉で嫌いなものが二つあります。
「しょうがない」と「切り換え、切り換え」です。ドイツ語にもないと思います。「どうにもできない」はあっても「しょうがない」はありません。
これは諦めるべきではない何かを諦めてしまう、非常に嫌な語感だと思います」
オシムの言葉 増補改訂版
木村 元彦 (著)
文藝春秋; 増補改訂版 (2014/1/4)
P289
獲物を追って移動する狩猟・肉食系の外国と異なり、日本は、逃げ場のない狭い国土の中で、決められた土地に定着する草食・農耕民族であるから、定期、不定期に襲う巨大な自然災害を宿命として受け入れて、破壊されては再生しつつ長い歴史を紡いできた。
未曽有の恐怖に襲われながらも、欧米人に見られない郷土への強い帰趨本能を有する。
我が国は、英語には一般名詞がなく国際共通語になった"Typhoon"や"Tsunami"に代表される自然災害大国であるにも拘らず、生まれ育った土地から逃れようとはしない。
自然科学の視点から考える 日本民俗学
橋口 公一 (著)
幻冬舎 (2017/4/20)
P29
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