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諍論(じやうろん)するな [対人関係]

君子の力牛にも勝れりといへども牛と諍そはず。
我法を知れり、彼に勝れたりと思ふとも、論じて人を掠(かす)め難ずべからず。
若し真実の学道の人ありて法を問はば、法を惜しむべからず。為に開示すべし。
然あれども猶それも三度問はれて一度答ふべし。多言閑語することなかれ。

懐奘 (編集), 和辻 哲郎
正法眼蔵随聞記
岩波書店; 改版版 (1982/01)
P112

-72e47.jpg狗留孫山修禅寺2

永平寺の開祖道元(1200‐53)が洛南に道場を開いた時、その学風を慕って参じた懐奘(1198‐1280)が、日々に聞く師の言葉を記録したもの。勉学の心得はもとより宗教について死生について等々、人生の根源にかかわる問題が易しく述べられている。忠実な記者の態度を貫いた懐奘の筆によって、道元その人の言葉がよく伝えられているという。

正法眼蔵随聞記改版

学識の豊かな人は、知識に自信があるあまり、人の意見に耳を貸さないことが多い。そして一方的に判断を推しつけたり、勝手に決めつけたりする。
 そんなことをすれば、どういうことになるだろう。そう、抑えつけられた人たちは、侮辱された、傷つけられたと感じ、おとなしく従ってはいない。憤り、反抗するだろう。

父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章
フィリップ・チェスターフィールド (著), 竹内 均 (翻訳)
三笠書房 (2011/3/22)
P121

 


[第七十九段] 何事も、深く立ち入らぬ様子をしているのがよい。人柄のよい者は、知っていることだからといって、そんなに自慢顔にしゃべったりはしないものだ。
~中略~
自分が精通している道には、必ず口が重く、相手が問わぬ限りは、しゃべらないのが、よいのである。 

徒然草―現代語訳
吉田 兼好 (著), 川瀬 一馬
講談社 (1971/12)
P227


  自分の考えにしがみついている人が、「俺様の考えだけが真理であり、貴様はまちがっている」と論争をしかけてくるなら、
「なるほど、そういう考え方もあるのですねえ。あなたがそう考えたくなる気持ちはわかるような気がします」
と言ってヒョイッとかわしてやるとよい。
~後略
経集832

超訳 ブッダの言葉
小池 龍之介 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011/2/20)
〇四八  


八二四 かれらは「ここにのみ清らかさがある」と言い張って、他の諸々の教えは清らかでないと説く。
「自分が依拠しているもののみ善である」と説きながら、それぞれ別々の真理に固執している。
八二五 かれらは議論を欲し、集会に突入し、相互に他人を<愚者である>と烙印し、他人(師など)をかさに着て、論争を交す。―みずから真理に達した者であると称しながら、自分が称賛されるようにと望んで。
八二六 集会の中で論争に参加した者は、称賛されようと欲して、おずおずしている。そうして敗北してはうちしおれ(論敵の)あらさがしをしているのに、(他人から)論難されると、怒る。
八二七 諸々の審判者がかれの所論に対し「汝の議論は敗北した。論破された」というと、論争に敗北した者は嘆き悲しみ、「かれはわたしを打ち負かした」といって非泣する。
八二八 これらの論争が諸々の修行者の間に起ると、これらの人々には得意と失意とがある。ひとはこれを見て論争をやめるべきである。称賛を得ること以外には他に、なんの役にも立たないからである。
八二九 あるいはまた集会の中で議論を述べて、それについて称賛されると、心の中に期待したような利益を得て、かれはそのために喜んで、心が高ぶる。
八三〇 心の高ぶりというものは、かれの害われる場所である。しかるにかれは慢心・増上慢心の言をなす。このことわりを見て、論争してはならない。諸々の熟達せる人々は、「それによって清浄が達成される」とは説かないからである。
~中略~
八三二 (特殊な)偏見を固執して論争し、「これのみが真理である」と言う人々がいるならば、汝はかれらに言え、―「論争が起こっても、汝と対論する者はここにいない」と。

ブッダのことば―スッタニパータ
中村 元 (翻訳)
岩波書店 (1958/01)
P183


仏の教えは前に触れたように、大きな声をあげて「論争」することを好まない。やはり、弘法大師も静かに沈黙することをすすめるのだ。意見の違う人に対して、言葉を尽くして説明することは、僕自身これから何度もあるだろうけれど、同時に、釈尊や空海が「黙」というものに込めた真意に、思いを巡らすものでありたい。
「方円の人法は黙するに如かず」
【現代語訳 四角になったり円くなったりする人間のあり方に対しては黙している方がよい】
(弘法大師 空海 遍照発揮性霊集」巻第一)

ボクは坊さん。
白川密成 (著)
ミシマ社 (2010/1/28)
P235

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 相手が過剰にしゃべっているときには、私は逆に沈黙を武器として使います。相手が得意げに話し続けているときや、相手の言っていることが要領を得ないとき、私はとにかく黙って聞くようにしています。
饒舌な人間はこちらが黙っていると、何時間でも話し続けるものです。聞いているこちらとしては、「相手に口をはさませずに一人で二時間、三時間しゃべるアホがどこにおんねん」という心境ですが(口が悪くてごめんなさい)、まずは何も言わずに聞きます。
 なぜか、こういう相手は調子に乗りすぎないよう、ボディーブローを打ち込んでおく必要があるからです。
ずっと黙って聞き続け、最後に相手が「すごいだろ、これでわかったか?」と得意げに言ってきたときに、「いや、全然わかりませんでした」と真顔で切り返すのです。
 実際、これはかなり堪(こた)えます。

交渉プロフェッショナル
島田 久仁彦 (著)
NHK出版 (2013/10/8)
P43


人が君の議論を認めない場合も、忍耐を失うな。(コーランから)
(「格言と反省」から)

ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P92


 いくら見事に論破しても、こういうアホたちが自分の考えを変えるとは思いにくい。美しく論破されたら、あなたに対する恨みが増すだけだろう。次は姑息な手段を使ってでもリベンジしてくるかもしれない。
その前に、誰からん見てもいくら見事に論破したと思われても、アホは論破されたと思っていない可能性が高い。言いがかりをつけられたとか、屁理屈で言いくるめられたと思って、被害者意識を持ちながらあなたを憎むことだろう。
 おせっかいの傾向のある人は、たいていはお人よしで純粋な人が多い、ある意味、自信家であり、自分は問題を解決できると思っているから、いろいろとおせっかいという形で介入してくるわけだ。

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
田村耕太郎 (著)
朝日新聞出版 (2014/7/8)
P27


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