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法華経のキモはどこか [宗教]

  法華経には、「法華経という神秘な経典がある」ということが繰り返し説かれている。
ところが、その法華経の中身は最後まで明かされることなく、法華経を書写し読誦せよ等というだけで終わってしまう。

つまるところ、法華経を讃えた経典が法華経なのであり、奇妙な自己撞着に陥っているかのように見える。

~中略~
漢訳法華経でも「この経を受持し読誦し書写し解説すれば無上の悟りに至る」と繰り返し説かれて、法華経は真理の世界への通路であることが示されている。
その神秘な宇宙のエントランスとして設置されたのが文字の経典であるとすれば、「南無妙法蓮華経」の題目は、その扉を開く鍵であると解釈することができよう。

大角 修 (翻訳)
図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説
学習研究社 (2001/03)
P313

図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説 (エソテリカ・セレクション)

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  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2020/07/16
  • メディア: 単行本



 

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P207
 日本でもってもよく読まれた長編の経典「法華経」は、この鳩摩羅什の訳です。「法華経」の法華というのは蓮の花を意味します。

P210
 「法華経」が「般若経」と並んで大乗仏教の最も重要な経典であることは否定できません。
~中略~
「法華経」にはたとえ話が多くて、西洋哲学を勉強した私にははなはだ理論的に物足りないように思われたんですね。ある仏教学者は、「「 法華経」には「法華経」が優れているということ以外には何も語られていない」と言っています。
~中略~

「法華経」は「維摩経」などとは違って二乗成仏を主張します。
二乗というのは声聞、縁覚という釈迦の弟子たちのことで、人里離れた山に 住んで自分ひとりが悟りを開いて、清い人生を送っている人たちのことです。そういう二乗も成仏できる。いったんは大乗仏教の救いから排 除された二乗仏教、声聞、縁覚などの釈迦の弟子たちの仏教を、もう一度大乗仏教のなかに吸収しようとする狙いを持っています。
二乗成仏は、それゆえに仏教の統一を目指す仏教であると言えます。
統一と平等というのが「法華経」の根本思想です。二乗も成仏できるということは、いかなる人間も成仏できるということになります。

 この「法華経」を根本経典とする日本天台宗を創設したのは最澄ですが、最澄は「人間には、仏になれない人間や仏になれるかどうかわ からない人間がいる」とする奈良仏教に対して、「すべての人間が仏になれる」という説を唱えました。
すべての人間に仏性があり、いかなる 人間でも何度か生まれ変わるうちに必ず仏になれるというわけです。

 「法華経」の「提婆達多品」のなかで、はなはだ重要な説が説かれています。悪人である提婆達多ばかりか、龍女すらいつか必ず仏にな れる、とお釈迦さんは約束します。
仏になれるという御釈迦さんの約束を授記と言いますが、提婆達多の授記、および龍女の授記は大変に 重要な思想です。
そこに悪人成仏、女人成仏の説が説かれているのです。
~中略~
この悪人成仏、女人成仏の説をさらに発展させたのが浄土教であると言えます。

梅原猛の授業 仏になろう
梅原 猛 (著)
朝日新聞社 (2006/03)

 

梅原猛の授業 仏になろう (朝日文庫)

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