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ノスタルジー [哲学]

 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」。シチリアを旅立つ青年に、老映画技師は言う。もうここには戻ってくるな。ノスタルジーに惑わされてはいけないと。
そう。ノスタルジーは幻想なのだ。ノスタルジーに浸るとき人は自己愛に浸っている。それに足をとられるな。たぶん技師はそう言いたかったのだ。

~中略~
なつかしさとは、いとおしいペットのような自己の記憶なのだ。時に人はそれに足をとられ、しかし時にそれは解毒剤のように何かを溶かし慰撫してくれるものでもある。

福岡 伸一 (著)
ルリボシカミキリの青
文藝春秋 (2010/4/23)
P199


ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで (文春文庫)

ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで (文春文庫)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/04
  • メディア: 文庫

 

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 どの時代も、その前に時代を、自分たちのより元気がよく道徳的だった時代だと考える。

今の人間が昔の人間より劣っているという嘆きは、ヘロドトスの歴史書にも、ローマ共和国後期の文筆家にも、モンテーニュにも、現代の作家にも見出される。

(「作家の手帳」一九〇一年)


モーム語録
行方 昭夫 (編集)
岩波書店 (2010/4/17)
P10


モーム語録 (岩波現代文庫)

モーム語録 (岩波現代文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/04/17
  • メディア: 文庫





 何かを行うことと、何かを思うこととは、両方とも人間的な行為です。
 未来を夢見て心を躍らせることと同じように、人は過去を振り返って思いにふけります。そのどちらにも優劣はありません。ともに私たちの人生のたしかな一部ではないでしょうか。
~中略~
 人は現実生活の中で傷つきます。心が乾き、荒涼たる気分を覚えます。そのガサガサした乾いた心をうるおしてくれるのが、郷愁です。

百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P199



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