ヒトという生物 [哲学]
プロメテウス(住人注;火を人間にやった)を罰したゼウスは、こんどは人間を苦しめる方法をあれこれ考えた。すると、いいことを思いついた。美しい女を作って、人間達におくることである。
そこでヘパイトスに女を作らせて、パンドラという名をつけ、これに息をふきこんだ。パンドラという名は<あらゆるものに恵まれた者>という意味だと言う。
~中略~
すこし頭のたりないエピメテウスは、パンドラにせがまれて、とうとうふたをすこしあけた。とたんに病気、憎しみ、ぬすみなどのあらゆる悪が、箱(住人注;人間を愛したプロメテウスがあらゆる悪を閉じ込めておいた)からとびだして人間の世界にとびちった。
~中略~
考え深いプロメテウスは、ゼウスが人間をひどく苦しめた時のことも考えて、希望をもこの箱の中にちゃんと入れておいたのだった。こうして希望が最後まで人間のそばに残り、彼に勇気と力とをあたえることになったのだという。
山室 静 (著)
ギリシャ神話―付・北欧神話
社会思想社; 再版版 (1962/07)
P36
ギリシャ神話―付・北欧神話 (1963年) (現代教養文庫)
- 作者: 山室 静
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 2021/01/25
- メディア: 文庫
人間、そしてその人間が構成する社会が理屈(理性)で動くのであれば、おおよそ諸問題はギリシア時代(太古という意味で、この時代設定にはあまり意味はない)には解決しているのではなかろうか。
そうでないのは、感情(欲望)が大きなウエイトを占めているからではなかろうか。
ヒトはギリシア神話や古事記の頃からあまり変わっていないような気がする。
そして、まいどまいど同じことが繰り返されているような気がする。
それがヒトと言う生物なのかもしれない。
馬寄村の住人
理性のある動物、人間とは、まことに都合のいいものである。
したいと思うことなら、何にだって理由を見つけることも、理屈をつけることもできるのだから。
フランクリン (著), 松本 慎一 (翻訳), 西川 正身 (翻訳)
フランクリン自伝
岩波書店 (1957/1/7)
P67
今では、三百年前の人間も今の人間も同じだということがよくわかる。どちらもただの人間、ただあり方や習慣が時として変わるだけで、人間の性質なんて今も昔も変わるはずがない。
父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章
フィリップ・チェスターフィールド (著), 竹内 均 (翻訳)
三笠書房 (2011/3/22)
P114
父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章 (知的生きかた文庫)
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2011/03/22
- メディア: 文庫
現在(住人注;2010年12月24日)、フェースブックのユーザーは世界に5億5000万人以上いるといわれている。
そして、いまも増え続けている。彼らにとって、「フェイスブックする」と言う言葉は、「電話する」という言葉と同じ意味を持っている。それも、みんなでする電話のようなものだ。
映画「ソーシャル・ネットワーク」の中で、フェイスブックを始めたばかりという女子学生がいう。
「サイコーにクールなサイトよ。でも、ハマるから気をつけて!1日に5回も見ちゃう!」
そう、人は、人とのつながりを、いつも、いつも、確認していたい生き物なのだ。
山脇 伸介 (著)
Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム
ソフトバンククリエイティブ (2011/1/19)
P183
Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム (SB新書)
- 作者: 山脇 伸介
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/06/11
- メディア: Kindle版
人間とは何か。
定義は「直立二足歩行するサル」だ。でも、人間を人間たらしめた特性は何か、人間という存在、その心や行動をそうあるものにしている引き金は何かというと、それは、「親子が生まれながらにして離れていて、赤ちゃんが仰向けで安定していられる」ことだと考えるようになった。
巷でよく聞くストーリーは、二足歩行説だ。
~中略~
でも、チンパンジーの足をみてわかるように、霊長類は四足動物ではない。手ばかり四本あるのだ。
霊長類の昔の呼び名は四手類といった。なぜなら哺乳類のなかで、手が四つあるのはサルの仲間だけだからだ。
つまり、四足動物が立って、二足で立ち上がることで、はじめて手ができたのではなくて、最初から四つの手がある。
~中略~
人間は立ち上がることによって、手をつくったのではない。
人間は立ち上がることによって、足をつくった。足という、物をつかめない四肢の末端をつくった。それで歩くようになったのが人間だ。
P55
人間は、生まれながらにして親子が離れている。そういうなかで赤ちゃんは仰向けで安定していられる。その姿勢が、見つめ合う、微笑みあうという視覚的なコミュニケーションを支え、それが後には発語につながっていく。
そして、生まれながらにして自由な手で物を扱い、多様な道具使用に結びつく。けっして四足の動物が二足で立ち上がって、手が自由になって物を扱うようになったのではない。人間が二足で立ち上がるのは一歳頃なのだから。
人間は一歳のときに人間になるのではなくて、生まれながらにして人間なのだ。
人間は生まれながらにして、見つめあい、微笑みあい、声でやりとりをして、自由な手で物を扱う、そういう存在として生まれてきているのだ、と私は考えている。
これが学会で認められた説ということではない。まだ私が、われわれの研究グループが、ほんの一握りの人々が一生懸命言っている段階だ。
しかし、「そういう考え方もあったか」ということが徐々に知られていっている。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P53
物事に変化はつきものであるが、その半面、偉大な思想は何世紀にもわたって生き生きと流れて、(86)ペリクレスの時代と同じようにわれわれを効果的に支配している。
人類はたえず進歩しているとよく言われるが、人間は変わらない。人間性の基となる愛、希望、恐れ、信仰、さらに人間の心の基本的情熱は不変であり、文学から霊感を得る秘密は、時と場所を問わず共感を抱き、それに共鳴する心の琴線に触れる能力を持つことである。
ウィリアム・オスラー (著), William Osler (著), 日野原 重明 (翻訳), 仁木 久恵 (翻訳)
医学書院; 新訂増補版 (2003/9/1)
P50
人間は、他人の経験を利用するという
特殊能力を持った動物である。
[R・G・コリングウッド] イギリスの歴史学者 | 1889-1943
人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
水野敬也 (著), 長沼直樹 (著)
文響社 (2012/12/11)
P49
人生はワンチャンス!- 「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法 人生は~シリーズ
- 出版社/メーカー: ミズノオフィス
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: Kindle版
自分たちがわざわざ設定したルールで、自分たちが用意した競技場で、時に涙を流したり、激怒したりしながら、応援や競技をすることは、人間を動物の一種として考えると「相当に変」なことだな、と不思議な気持ちになった。
「生存に無関係なこと」で必死になっている。
動物の中で「人間固有」の特徴をいくつか挙げようとするならば、そこにはこの「生存に無関係なことで必死になる」ということが登場するように思う。これはスポーツばかりでなく、芸術や遊びなどにも言えることだ。
そして、また「宗教」という存在も「人間固有」のものだろう。
ボクは坊さん。
白川密成 (著)
ミシマ社 (2010/1/28)
P222
ポンペイ展(二〇〇二年、福岡市博物館にて開催。)、もう見に行った? ベスビオ火山が噴火したのは紀元前かな。もし機会があったら見てご覧なさい、人間は全然進歩しとらんことがよく分かるから。昔のほうがよっぽどいい。もうがっかりしたな。
町の構造、美術的なもの、快適な空間作り、社会の衛生面に対する配慮、そういったものが全部きれいに作り出されています。今のほうがよっぽど悪い、非健康的だ。
神田橋條治 医学部講義
神田橋 條治 (著), 黒木 俊秀 (編集), かしま えりこ (編集)
創元社; 初版 (2013/9/3)
P066
全く人間と言う奴はこうしたもんです!
どいつもこいつも違えばこそ。
隣の人が不幸に襲われれば、大口をあいて喜んでいる。
~中略~
今日は今日とて、罪もない避難民の気の毒な様を見に、
みな遊山みたいに出かけるのです。同じ運命が、すぐにとは言わないまでも、
いずれは自分の身の上を見舞うことを考える者とてありません。
こうした浮わついた気持ちは勘弁なりませぬが、やはり人間の持ち前ですなあ。
(「ヘルマンとドロテーア」第一の歌から)
ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P23
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2021/01/25
- メディア: 文庫
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