キリクサンー川筋気質 [言葉]
石炭は北九州の近代産業発展の源でもあった。石炭があることによって八幡製鐵所をはじめ多くの工場群が北九州に立地してゆく。
「石炭が拓いた北九州の産業と文化」が今年三月、北九州産業技術保存継承センターから刊行された。
石炭は産業だけでなく文化や気質にまで影響を及ぼしたと、同書は次のように指摘する。
「納谷気質も川筋気質もごんぞう気質も、洗練された都会の生き方や、ホンネを隠し権謀術数をこらす宮廷官僚・女官の生き方とは正反対の気質である。
じっと耐えて気長にものを育てる農民的な気質でもない。五木寛之の「青春の門」にも出てくる、この地方の人々の口癖「なんちかんち言いなんな!」に象徴される」
川筋気質を表す言葉にキリクサンがある。この言葉と永末の実名は「青春の門」(五木寛之著)に登場する。
「キリクサンとは、遠賀川の船頭たちの間に生みだされたひとつの男の理想であった。そのことを筑豊の郷土史家、永末十四雄は<川筋気質>という文章のなかでこう書いている。
<キリクサン>とは、淡白で、いさぎよい、きびきびしたという意味を綜合したものです>」
P25
北九州市立中央図書館 轟 良子
海峡の風 北九州の先人たち105
ひろば北九州第33巻第10号 2010.10.1 No.292
皿倉山
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