生物の特徴 [雑学]
生物の特徴は、実は、指揮者やリーダーがいないということである。
ヒトの細胞は全部で六十兆個もあるけれど、どの細胞も全体の地図や構造を一切知らない。個々の細胞が絶えず連絡を取り合っているのはせいぜい自分の前後左右上下の細胞だけである。にもかかわらず全体としては組織だった統合がなされている。
中央集権ではなく、とても地方分権的な仕組みだという点がポイント。脳ですら、身体全体を鳥瞰的にみているわけではなく、むしろ個々のニューロンは近隣のニューロンと情報交換しているにすぎない。
ローカルなグリッドが相互に連結するだけで、グローバルなシステムを作り上げる。
つまりここには「部品」と呼ぶべきものはなく、ローカルは連続的に全体を構成する。
このようなモデルは、生命の本質を探る上でとても重要なヒントになる。
福岡 伸一 (著)
ルリボシカミキリの青
文藝春秋 (2010/4/23)
P189
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