リバース・ブランド [社会]
グーグルのようなブランドを、リバース・ブランドと呼びたい。
アイデア・ブランドの中でも非常に特殊で、顧客が期待している拡張への流れを意図的に断ち切る。
他社が競争に欠かせないとみなしている便益の提供を控えようとする。リバース・ブランドは、他社がイエスと言うときにノーと言う。謝りもせず、堂々と。
この意味をすこし考えてみよう。ビジネス全般、特にマーケティングにおいては、顧客の期待に応えられない以上の罪はない。
消費者が期待している便益を与えないという決断ほど、眉をひそめさせるものはない。
つまり、ビジネスパーソンの本能に逆らうものだ。カテゴリー全体が北を目指して競争しているとき、南を目指すのは正気の沙汰ではない。
ヤンミ・ムン (著), 北川 知子 (翻訳)
ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
ダイヤモンド社 (2010/8/27)
P88
三徳山三仏寺奥の院(投入堂)
P95
ところが、IKEAの愛好家は、短所をはっきり認めた上で長所を語る。
立地は不便だが、それも冒険のうち。買い物に時間がかかるが、店での時間はディズニーランドのよう。面倒な組み立ても、やりがいがある。
壊れやすいことですら、買ったものに縛られない解放感は何物にも代えがたいと答えるだろう。
~中略~
顧客の過保護と満足度が完全に比例してくれればビジネス上は都合がいい。しかし、現実はそうはいかない。
~中略~
価値提案から便益を取り除くのは、結晶を作り出すようなものだ。
中核に新しい光を当てるために余計なものをそぎ落とす。その結果、驚くべき純度を誇るようになる。
一方で、リバース・ブランドは分類するのがとても難しい。
典型的な最高級ブランドに比べればあまりにも簡素化されているし、典型的な低価格品に比べれば質が良すぎる。
いかなる鋳型にも当てはまらないが、似たものばかりのカテゴリーでかなりの吸引力を持っているのは確かだ。
コメント 0