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租税を薄くして民を裕にする [社会]

一三 租税を薄くして民を裕にするは、即ち国力を養成する也。
故に国家多端にして財用の足らざるを苦しむとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐(しい)たげぬもの也。能く古今の事跡を見よ。
道の明かならざる世にして、財用の不足を苦しむ時は、必ず曲知小慧(きょくちしょうけい)の俗吏を用ゐ巧みに聚斂(しゅうれん)して一時の欠乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、 手段を以て苛酷に民に虐たげるゆゑ、人民は苦悩に堪へ兼ね、聚斂を逃んと、自然譎詐(きっさ)狡猾に趣き、上下互に歎き、官民敵讐と成り、終に分崩離折に至るにあらざるや。

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想
西郷 隆盛 (著), 猪飼 隆明 (翻訳)
角川学芸出版 (2007/04)
P49

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/04/01
  • メディア: 文庫


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一四 会計出納は制度の由て立つ所ろ、百般の事業皆是れより生じ、経綸中の枢要なれば、慎まずはならぬ也。
其の大体を申さば、入るを量りて出るを制するの外更に他の術数無し。一歳の入るを以て百般の制限を定め、会計を総理する者身を以て制を守り、定制を超過せしむ可からず。
否らずして時勢に制せられ、制限を慢(みだり)にし、出るを見て入るを計りなば、民の膏血(こうけつ)を絞るの外有る間敷(まじき)也。
然らば仮令(たとい)事業は一旦進歩する如く見ゆるとも、国力疲弊して済救す可からず。

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/04/01
  • メディア: 文庫




下層の人々の生活条件がこのように改善されたことは、社会にとって利益とみるべきか、それとも不都合とみるべきか。
答えは一目瞭然である。さまざまな種類の使用人、労働者、職人は、すべての巨大な政治社会の圧倒的大部分を構成している。この大部分の者の生活条件を改善することが、その全体にとって不都合とみなされるはずはけっしてない。どんな社会も、その成員の圧倒的大部分が貧しくみじめであるとき、その社会が隆盛で幸福であろうはずは決してない。

国富論 (1)
アダム・スミス (著), 大河内 一男 (翻訳)
中央公論新社 (1978/4/10)
P133

国富論 (1) (中公文庫)

国富論 (1) (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1978/04/10
  • メディア: 文庫



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