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PA戦略 [言葉]

 強烈なのは、ほとんどあらゆるメディアのスペースを買いとって繰り広げたパブリシティの壮大さである。
東大・京大教授、男女キャスター、脳科学者、スポーツジャーナリスト、将棋名人、俳優、元文部大臣、ヒット続出の漫画家・・・挙げていけばキリがない。
「原子力の問題は論理的に考えよう」とご託宣を下した、名の知れた男性キャスターもいる。数々のもっともらしいデータがふんだんに付加されている。なかに「日本のエネルギーを支えるふるさとXX」と各地原発基地を故郷とするスポーツキャスターまで。

「パブリック・アクセプタンス(社会に受け入れられ、認知を求めるための働きかけ)」、略してPA戦略と呼ぶ。見事な動員力に唖然とするほかない。いま彼らは何をもって弁明とするのであろうか。

~中略~
昭和五六年六月にまとめられた日本原子力文化振興財団による「PAに影響する社会的ならびに心理的要因に関する調査研究」(全文100ページ)などは、原子力に関する専門家・ジャーナリスト1000人を対象として選び、実施した調査結果から対マスコミ戦略をひねり出した。
 同財団の企画委員会(委員長・田中靖政学習院大学教授・当時)によって展開され、累積されたそれらの調査結果は、専門家グループのなかでもとりわけ評論家、ジャーナリストが原子力に対して「最も強い不信感をを抱いているグループである。
との結論を導き出したうえで、今後の”PA戦略”では、何よりもその評論家・ジャーナリストを見方につけることが重要であると強調している。

巨大複合災害に思う
─「原発安全神話」はいかにしてつくられたか?
  内橋克人 (経済評論家)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P42

-1a0fa.jpg龍蔵寺9


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