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ファシズムは不安を土壌に登場する [社会]

 気になることがある。関東大震災からわずか一四年後の一九三七年盧溝橋で日中両軍が衝突、日中戦争が始まり、四一年の真珠湾攻撃へつながる。
関東大震災前年の一九二二年にはワシントン海軍軍縮条約が結ばれ、「国際協調」と「大正デモクラシー」と言われた時代が存在した。それが軍靴の音に押し潰されていく転機となったのが大震災だったといえる。

 無力感と不安の中で醸成されるのは力への誘惑である。頼りなく迷走する状況への苛立ちの中で、束ねる力、統合力を求める心理が高まる。

今日軍部の台頭を懸念する必要はなかろうが、即時的同一化というやつで、「がんばろうニッポン」的なキャンペーンの繰り返しと「この際、救国大連立政権で」などという動きに救いを求めているうちに、思いもかけぬ方向に向かう可能性があることを肝に銘じなければならない。
ファシズムは不安を土壌に登場するのである。

脳力のレッスン 109
緊急編 東日本大震災の衝撃を受け止めて──近代主義者の覚悟
  寺島実郎

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P79

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌


  -c0057.jpg平尾台 千仏鍾乳洞7

池田 今回の東日本大震災のあとも、挙国一致みたいな雰囲気になっているからね。
そこで、「死んでしまったもんはしょうがないよな」とか、そういうことって、思っていてもなかなか口に出して言いづらいし、「おれはボランティアはしないよ」とか、「義損金は出さないよ」とか、言いづらいでしょう。
そういう心理的圧迫、同調圧力というのはとても強くあって、実際、被災地以外で「自粛」の嵐が吹き荒れたでしょう。

ボランティアや義損金や自粛が悪いというわけじゃないんだよ。ただ、そうしなければならないんだとみんなが思う雰囲気というのは、やっぱり危険なんだよ。

ほんとうの復興
池田 清彦 (著), 養老 孟司 (著)
新潮社 (2011/06)
P69

ほんとうの復興

ほんとうの復興

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/04/13
  • メディア: 単行本



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