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予想どおりに不合理 [ものの見方、考え方]

わたしたちはふつうの経済理論が想定するより、はるかに合理性を欠いている。
そのうえ、わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。
規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予想もできる。

予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)
P20

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: ペーパーバック


-6c3a8.jpg輪廻塔 長野県善光寺

P79
デカルトは、コギト・エルゴ・スム―”我思う、ゆえに我あり”と言った。
しかし、人間というものが、最初に何も知らずにたまたまとった行動の総体でしかないとしたらどうだろう。
~中略~

何をするにつけても、自分が繰り返ししている行動に疑問を持つよう訓練すべきだ。
携帯電話なら、最新型よりひとつ前の機種にして出費を抑え、浮いたお金をほかのことにまわしてはどうだろう。コーヒーなら、きょうはどのブレンドにしようか考えるかわりに、そもそも高価なコーヒーを毎日飲む習慣をつづけていいのかと自問すべきだ。
 ~中略~

 これだけの効力をもつのだから、最初の決断はきわめて重要であり、十分な注意を払うべきだ。
 ソクラテスは、吟味されない人生は生きる価値がないと言った。わたしたちもそろそろ、自分の人生にける刷りこみやアンカーをよくよく検討していいころだ。
その刷りこみやアンカーがかつてはまったく合理的だったとしても、いまも合理的とはかぎらない。ひとたび昔の選択を考えなおせば、新しい決断に、そして新しい一日の新しいチャンスに気持ちを向けられるようになる。

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  P92
 結婚や高額商談など重要な選択をした後に、人はもっともらしい”言い訳”を探して「後悔していない」と思い込みたがる傾向が強い。熟達な営業マンはこうした客の心理をうまく利用しているという。

P95
「反対意見のほうが自分の意見よりもいいかも」すぐには心が変わらなくて、むしろ自己弁護に入って「私の意見の方がいい」と固辞する傾向が生まれることが、心理学的には古くから知られています。
~中略~
議論好きな人は、本心から議論が好きというより、自分の意見がうまく変えられなくて、無駄をしてしまっていることが多いように感じます。これについてはフランスの思想家ジョセフ・ジュベールの名言に譲りましょう。
「自分の意見を引っ込めないものは、真理より自分自身を愛している」。
 これも根本を辿ると、「言い訳」は「自分の維持」、「恒常性の維持」への本能ということになってくるのだと思います。

P148
 つまり、人間の行動は根拠があるようでいて、基本的には深い根拠はないのです。
 恋愛も同じです。なぜ、その人を好きになったか、根拠があるでしょうか。
~中略~
そうやって突き詰めていくと、理由なんてないのです。人は選んだ後に「言い訳」を言っているだけなのです。
「なぜ僕のことを好きになったの?」と聞かれたら、正しい答えは一つ。そう、「脳がゆらいだから」です。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
池谷 裕二 (著)
祥伝社 (2006/09)
 


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 私たちは自分が思っているほど、理性的な生き物ではない。そして効果的なあの手この手に簡単に乗ってしまう。「特典付加テクニック」で、頼みもしない値引きをし、あなたの財布から金をさらおうとする人たちにご用心を。
また、小さな頼みからはじめて、だんだん要求を大きくしていく人たちや、最初に大きな要求をもちだして、すぐに小さな要求に切り換える人たちにもご用心を。

その科学が成功を決める
リチャード ワイズマン (著), Richard Wiseman (原著), 木村 博江 (翻訳)
文藝春秋 (2012/9/4)
P248

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P7
軽率に物事を信じやすいという、この昔ながらの人間性をわれわれは大目に見てやる必要がある。諸君のお気に入り牧師がまったく効かないインチキ粉薬をチョッキのポケットに忍ばせているのを見つけたとしても、あるいは諸君の模範的な患者の病室でたまたま(19)ワーナーの救命薬を見つけたにしても、怒りの気持を抑えるよう努めねばならない。
諸君は今後、この種の腹立たしい出来事を一度ならず経験するであろうが、あらかじめかくごしておき、そのような事態が起こったからといって決して立腹してはならない。
P16
(19)ワーナーの救命薬(Warner's Safe Cure):ニューヨーク州ロチェスターに住むワーナー(H.H.Warner)が製造したインチキ売薬。腎臓病と肝臓病に効くという評判がたち、一八八〇年頃爆発的な売れ行きを示したという。

平静の心―オスラー博士講演集
ウィリアム・オスラー (著), William Osler (著), 日野原 重明 (翻訳), 仁木 久恵 (翻訳)
医学書院; 新訂増補版 (2003/9/1)

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私たちは人生における選択状況のすべてにおいて,とりわけ,新奇でリスクが痛みをもたらすような選択においては,自分が何を望んでいるかはっきりわからないことがある.その結果,人はその選好その場その場で”構成”するよう迫られる.
自分の生活において一般方針を決めている”基盤”価値に基づいて,いつもとは違う特定の状況で,自分が何を望んでいるのか推論することになるのである.この過程でつまづいてしまうと,公理を逸脱し,(その意味において)非合理な選択を行うことになってしまう.
 いま,自動車を購入しようとしている夫婦がいるとする.お金はできるだけ使いたくないが,事故時に子どもを守りたいとも考えていて,これら二つの対立する価値がどれくらい重要なのか測りかねている.その状態を察知したベテラン販売員は,販売価格を高くするために,オプションの安全機能をそなえたモデルを推すだろう.
しかし,そのセールストークに接して”安全パッケージ”オプションはあまりに高価すぎる,と夫婦が突然気づき,逆に最も低価格で,危険で,最低限の装備しかついていない自動車を選らんでしまうと,販売戦略は失敗ということになる.
この場合,販売員は高い商品を販売できず,夫婦は推移性を破り,すでに否定したはずの選択肢に逆もどりしていることになる.
依然として,この夫婦が価値の優先順位をはっきり決めかねているようなら,販売員は先の最上級の安全パッケージよりグレードは低いが比較的安い安全オプションンの提案を再開するだろう.

リスク 不確実性の中での意思決定
Baruch Fischhoff (著), John Kadvany (著),中谷内 一也 (翻訳)
丸善出版 (2015/4/26)
P108

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脳の進化の歴史をたどれば、人間は合理的に考えることのできる知性を発達させることで半影もしてきましたが、その合理性を適度に抑えることで―つまり、適度に鈍感であり、忘れっぽく、愚かであり続けることによって―集団として協調行動をとることが可能になりました。  それが、今日まで人類が発展を続けることができた大きな要素だったのではないあかと考えることができます。果たして、合理性だけが発達した人間は、どのように扱われるのでしょうか?彼らは、異質なものとして人間社会からは排除されてしまうのです。

空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)
P200


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