DTC(Direct to Customer Campaign) [言葉]
まずGSK(住人注:現在(二〇〇九年)世界第井二位の英国の巨大製薬会社)のうつ病の啓発活動のメッセージは以下のとおりである(GSKのホームページより要約)
1うつ病は誰でもかかりうる病気である。
2うつ病は適切な治療で治る病気である。
3うつ病は早期の受診による治療が重要である。
うつ病患者への受診を勧めるシンプルなメッセージである。病気の啓発運動というのはわかりやすく、受診につながることが大切である。
1「誰でもかかりうる病気」で軽い不安を感じさせ、2「治る病気」で希望を与え、3「早期受診が重要」で具体的な行動を取るように勧める。
1不安、2希望、3行動、という三ステップのメッセージとなる。
問題はこういったメッセージをどうやって社会に浸透させていくかである。GSKはうつ病の啓発活動においてDTC(Direct to Customer Campaign)という手法を行った。
~中略~
DTCでは、まずは一般向けのマスメディア、つまり新聞広告、テレビ、雑誌、インターネット、を使って世間への露出を増やす。
内容は有名人のうつ病体験記だったり、精神科医によるうつ病についての話だったり、様々である。
こういった広告には、無料フリーダイヤルの電話番号や啓発サイトのアドレスと共に、「無料でハンドブックや教材を提供します」と書かれてある。
こうして、うつ病に関心がある人々を、コールセンターや自社で作ったうつ病啓発サイトへと誘導する。
DTCといっても基本的に某カツラメーカーの「電話してね」というやり方と同じである。
カツラでも、抗うつ薬でも、投資用マンションでも、セールスの基本に変りはない。いかに顧客とダイレクトに接触できる場をつくれるかにかかっている。
冨高 辰一郎 (著)
なぜうつ病の人が増えたのか
幻冬舎ルネッサンス (2009/7/10)
P96
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