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ポジティブ・イリュージョン [言葉]

  最近、一部の心理学者の間からは、重いうつ症状ではなく、比較的マイルドなうつ傾向や抑うつ気分にある人に関して、従来とは異なる考えが提唱されるようになってきました。
 彼ら・彼女らは言います。「うつの人が現実を正しく認識できないというのは間違いだ。うつ傾向を持つ人こそ、じつはふつうの人よりも正しく現実を認識していることが多いのだ」と。
しかもこう続けるのだから驚きです。「精神的に健康とされている人こそ、むしろ現実をゆがめて認識しているのだ」
~中略~
 この認識のゆがみのことを、心理学では「ポジティブ・イリュージョン」と呼んでいます。
~中略~

 ポジティブ・イリュージョンとは、物事を前向きに、もっと言えば自分に都合がいいように無意識にゆがめて解釈する、不思議な心の働きを指します。

 その具体的な特徴として、ポジティブ・イリュージョンの名づけ親でもある心理学者のシェリー・テイラーは、次の3点を挙げています。
 ①自分自身を、現実よりも肯定的にゆがめて認識している
 ②周囲の状況において、実際以上にコントロール可能だと信じている
 ③将来について、根拠のない楽感主義を持っている

菊池聡

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編
モーニング編集部 (編集), 朝日新聞社 (編集)
講談社 (2011/4/22)
P105

TS3E0357 (Small).JPG嘉麻市立織田廣喜美術館

P109
ポジティブ・イリュージョンが存在する理由のひとつ目は、「成長」です。
 我々の人生において、ポジティブイリュージョンがもっとも強く働くのは、子ども時代だとされています。
 経験が浅く、精神的・肉体的に未成熟な子どもたちは、たくさんの困難にぶつかりながら成長していきます。そうした困難を乗り越えるには、どうしても自分の力を過信するポジティブ・イリュージョンが必要なのです。
~中略~

 続いて二つ目の理由ですが、これは「心の免疫システム」という言葉で説明ができます。
 我々の生きる世界はあまりにストレスが多く、ありのままに受け止めるのは苦しすぎる。そこで、現実に対してポジティブ・イリュージョンというフィルターをかけることによって、嫌なノイズをふるい落とし、つらい現実を受け止めやすいものに再構築してゆく。
~中略~

 冒頭に述べた「うつの傾向を持つ人は、正しく現実を認識している」という主張は、「抑うつの現実主義(リアリズム)」と呼ばれ、ポジティブ・イリュージョンがうまく働かない状態にあることを意味しているのです。
菊池聡


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