チンパンジーの教育と学習 [教育]
こうした観察から、チンパンジーの教育と学習の三つの特徴がわかる。
一番目が、親や大人が手本を示すということ。逆にいうと、「ああしなさい、こうしなさい」とはしない。やってみせるだけ。
二番目が、自発的に真似る。真似しなければいけない特段の理由はない。でも、真似る。そもそも、「まねる」ということばが語源になって、「まねぶ」から「まなぶ」となったそうだ。
三番目が、子どもに寛容。子どもが見るぶんには、「あっち行け」と邪険にしたりしない。
子どもは見ているだけではなくて、自分でもいろいろやってみる。それは、トライアル・アンド・エラーという試行錯誤ではない。
トライアル・アンド・トライアル(試行また試行)とでもいうべきものだ。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P138
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