参与観察 [雑学]
チンパンジーの子どもはお母さんに育てられるべきだ。 チンパンジーの子どもは親や仲間と一緒に暮らさなければいけない。
どういう研究が倫理的に正しく、かつ科学的に妥当か。そう考えたときに、自分が行き着いた研究方法が、新たな研究手法としての「参与観察」だった。
~中略~
参与観察は、コロンブスの卵のような話だが、それまでの常識を覆した研究方法だ。その根底には、研究者とチンパンジーが長い時間をかけて親密な関係を取り結ぶという、日本の研究のオリジナルな発想がある。
野外研究でもちいられる「人づけ」に似ている。対象との間合いを徐々につめて一体化するのだ。
キリスト教的人間観から自由で、人間と動物、人間と自然、というようには切り分けない日本の文化的伝統が、参与観察という発想の基盤にあるのだろう。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P127
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