適齢期 [教育]
脳にはそれぞれの知性を発達させるのに適した「適齢期」があります。
適齢期とは、すなわちある知性の情報ネットワークがドラスティックに変化し発達する「感受性期」のこと。
子どもの知性を育てるには、ただ脳の「適齢期」=感受性期に、知性を発達させるための「普通の環境」をあたえてやりさえすればいいのです。
~中略~
言語的知性、音楽的知性など基本的な知性の適齢期は、基本的に0~8歳くらいといわれています。その時期にドラスティックに変化した情報ネットワークは、その時点である程度固まってしまいます。それが、その人の知性の基礎になるのです。
あとは、その基本ネットワークを駆使しながら、なんとか脳を使いこなしていくわけです。
逆にいうと、適齢期に適切な環境を与えられなかった場合、その知性情報ネットワークは発達せず、未熟なまま固まってしまいます。
平然と車内で化粧する脳
澤口 俊之 (著), 南 伸坊 (著)
扶桑社 (2000/09)
P200
霊長類研究所のアイも石器使用ができない。(略)
それはすべて、脳が三・二倍になるあいだに、ないについてどれだけ学んだかという過去の経験と学習の臨界期の問題だと思われる。アイは、コンピュータのシンボル使用というものを、一歳のときからずっとやっていた。石器は、二〇代後半になってはじめて遭遇した。それができない理由だと考えられる。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P146
僕は三十数年間教師をやってきました。その経験から確信を持って言えることは、子どもたちの成熟プロセスには大きなバラつきがあるということです。どういうきっかけで彼らの中にある潜在的な資質が開花するかは誰にも予測できません。
早熟の子どももいますし、晩熟の子どももいます。残念ながら、老衰死するまでついに成熟のきっかけをつかむことができなかった「子ども」もいます。
それは生得的な能力そのものに質的な差があったというのではなく、成熟プロセスを起動するタイミングの「ずれ」の問題なのだと僕は思っています。
これ一つでどんな子どもも成熟するというような万能プログラムは存在しません。
最終講義 生き延びるための七講
内田 樹 (著)
文藝春秋 (2015/6/10)
P324
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