想像するちから [哲学]
人間を他者と区別するもっとも大きな特徴はなんだろうか。
究極的にいえば、それはイマジネーション、想像するちから、ではないかと思うようになった。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P177
西明寺 二天門
P181
チンパンジーは、「今、ここの世界」に生きている。だからこそ、瞬間に提示された目の前の数字を記憶することがとても上手だ。
しかし、人間のように、百年先のことを考えたり、百年昔のことに思いを馳せたり、地球の裏側に住んでいる人に心を寄せるというようなことはけっしてしない。
~中略~
今ここの世界を生きているから、チンパンジーは絶望しない。
「自分はどうなってしまうんだろう」とは考えない。たぶん、明日のことさえ思い煩ってはいないようだ。
それに対して人間は容易に絶望してしまう。
でも、絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望を持てる。
どんな過酷な状況のなかでも、希望をもてる。
人間とは何か。それは想像するちから。想像するちからを駆使して、希望をもてるのが人間だと思う。
しかし、最近、どうもこの想像する力が弱い若者が増えているように思えるのです。
あらゆる道具が発達し、情報化も進み、便利で豊かな世の中になったのに、心の器は小さくなり、柔軟で謙虚な発想も乏しくなっているように感じます。
その原因はどこにあるのでしょうか。
あくまで私見であり極論かもしれませんが、それは身の回りから「不便、不満、不足」の状態が消えたことではないかと考えています。
一流の男は「気働き」で決める
高野 登 (著)
かんき出版 (2014/4/23)
P147
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