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人類の進化 [雑学]

  現在は、われわれ人間(ホモ・サピエンス)しか人類がいないが、これは歴史上めずらしい事態で、人類はいつも複数いるのが普通だった。
 関連してもう一つ、よくある誤解を正しておきたい。猿人、原人、旧人、新人と教科書に書いてあるけれども、猿人が原人になって、原人が旧人になって、旧人が新人になったという、一直線進化を人類がとげたのではない。
猿人と原人は同時代を生きていたし、原人と旧人、さらには旧人と新人も、同時代を生きていた。
それぞれが同時代を生きた別の人類であり、それぞれが死に絶えたということなのである。

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P8

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

  • 作者: 松沢 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/02/26
  • メディア: 単行本

 

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土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム

P55
 ここまでの話をまとめると、人間の親子関係の進化的基盤は次のようになる。
①哺乳類 母乳を与える
②霊長類 子が母親にしがみつく
③真猿類 母親が子を抱く
ホミノイド 互いに見つめ合う
⑤人間  親子が離れ、子が仰向けで安定していられる
~中略~
 そこから、人間らしい他者とのかかわり、人間らしい物とのかかわりが生まれた。

P78
 チンパンジーでは、こうした互恵的な役割分担をするという事実は見つかっていない。
利他的行動までは、チンパンジーにも色濃く認められる。誰かのために、何かをしてあげる。
しかし、それが相互に交代しない。せいぜい、毛づくろいのお返しをする程度だ。
~中略~

 人間は、進んで他者に物を与える。お互いに物を与え合う。
さらに、自らの命を差し出すまで、他者に尽くする。
利他性の先にある、互恵性、さらには自己犠牲。これは、人間の人間らしい知性のあり方だといえる。

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

  • 作者: 松沢 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/02/26
  • メディア: 単行本

 


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