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中途半端な経験は、感性を鈍化させる [ものの見方、考え方]

  ピーター・パンを読めば、まるで自分が空を飛んでいるような気分になり、シンデレラを読めば、自分が運命の王子様と結ばれたかのような恍惚を味わう。
 ところが、大人になってから童話に接しても、そこまでの感覚は得られません。せいぜいできのいいおとぎ話だと感心する程度で、自分とピーター・パンを一体化させるには至らない。ましてや、空を飛ぶことなどできない。
 これらの変化は、人生のさまざまな場面ででてくるはずです。

 中途半端な経験は、人生の感性を鈍化させる。世界と新鮮に向き合うことを困難にさせる。
 我々はもっと、この事実に自覚的であるべきだと思います。 それでは、どうすれば経験の罠から抜け出すことができるのでしょう?
答えはただひとつ、自らをリセットすること。すなわち過去を忘却することです。

一般に忘却は悪いことのように思われがちですが、我々は忘れるからこそ新鮮な心を保ち、新たな気持ちで世界と向き合うことができるのです。
~中略~
すなわち忘却とは、経験の中で蓄えられた余計な情報を削ぎ落とし、魂のコアにあるものを研ぎ澄ませていくプロセスでもあるのです。
亀山郁夫

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編
モーニング編集部 (編集), 朝日新聞社 (編集)
講談社 (2011/4/22)
P177

-85087.jpg金剛輪寺3

 「最近、年をとったせいか、記憶力が衰えちゃって」―これは間違っています。
 右の論文では、記憶について重要なポイントを二つ明らかにしています。
ポイント①は、海馬の性能そのものは、歳をとっても、衰えていないということです。若者と同じだけの能力を、歳をとってもちゃんと発揮できるのです。
ポイント②は、では歳をとって何が変わっているのかというと、シータ波です。
 シータ波は、面白いなと感じているか、知的好奇心を持っているか、探究心を持っているか、などといった注意力や興味に関係しています。シータ波がないと、見かけ上の脳の機能は低下します。結局は、脳装置の性能というよりも、装置を使う側の問題になるわけです。
 私たちにとっての最大の敵は「マンネリ化」です。
~中略~

 子どもは、一見、記憶力が優れているかのように見えます。確かに”特定”の記憶力については優れているという面はありますが、それよりも、好奇心が大人よりも強いという点が重要でしょう。見るもの、聞くもの、触るもの、すべてが子どもにとっては新鮮です。
生きることに慣れてしまった大人とは、まったく違います。
~中略~
 もちろん、これ(住人注;マンネリ化は脳の)は欠陥ではありません。マンネリ化は必要なのです。
~中略~

 ですから、初めて見たときには興味を示して、「何だろう」と探索するけれども、それを一回済ませてしまったら、あとは当たり前のこととして、次の別のものごとに専念するというステップが大切になってきます。
脳は処理を迅速にして、事務的な効率を高めるために、「慣れ」というメカニズムを用意しています。それが、マンネリ化ということです。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
池谷 裕二 (著)
祥伝社 (2006/09)
P220  

子ども心を失っていない者は、偉大である。
[孟子] 古代中国の思想家 | B.C.372頃-289

人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
水野敬也 (著), 長沼直樹 (著)
文響社 (2012/12/11)
30

 

孟子は「大人(だいじん)はその赤子(せきし)の心を失わざる者なり」と言うている。いわゆる赤子の心とは純一にして偽りのない、子供らしいことである。

修養
新渡戸 稲造 (著)
たちばな出版 (2002/07)
P48

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私は文学的論議というものにはどういう関心もないが、ただ作家にとって知識は敵であるということだけは、どうもそうらしいと思っている。
年をとって知識がふえればふえるほど、物事に感動することがすくなくなるが、それだけのぶんだけ創造力がなくなってゆく。
知識は、人間の不幸の一つとして年齢とともにどう防ごうとも殖えてゆくものだが、できればそれを棚の上にあげておいて、素の身は湯に浸り、Tさんが湯気の中でおどろいたように驚く工夫をしてゆかねばならない。
むろん作家や詩人でなくとも、そうあるべきであろう。

街道をゆく (1)
司馬 遼太郎 (著)
朝日新聞社 (1978/10)
P219

  我々の一番悪いこと、不健康、早く老いることの原因は、肉体より精神にあります。
精神に感激性のなくなることにあります。物に感じなくなる、身辺の雑事、日常の俗務以外に感じなくなる、向上の大事に感激性を持たなくなる、これが一番いけません。

安岡正篤
 運命を創る―人間学講話
プレジデント社 (1985/12/10)
 P209

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 古寺を巡るごとに、諸仏に対する私の感慨も次第に変わってくる。はじめての日のような素直な感動は少なくなって、へんにいらだたしくなったり、或いは不安を覚ゆるようなことが多い。
どれほど美しく尊いものも、度重ねてみているうちには日常茶飯事になってしまうのだろうか。

大和古寺風物誌
亀井 勝一郎 (著)
新潮社; 改版 (1953/4/7)
P71


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