自己調節、自己管理の教え [宗教]
人は生まれによって聖者たるにあらず
~中略~
自己のよりどころは自己のみである
自己のほかにいかなるよりどころがあろうか
自己のよく調御せられたとき
人は得がたいよりどころを得るのである
梅原猛の授業 仏教
梅原 猛 (著)
朝日新聞社 (2002/01)
P67
~中略~
(1)よく教えの道理を会得したるものが自由の境地をえてのちになすべきことはこれなり
有能、率直、そして端正なること
よき言葉を語り、柔和にして、高慢ならざること
(2)足ることを知りて、養い易きこと
雑事に係わらず、簡素に生きること
五根を清らかにして、聡明、謙譲なること
檀越(施主)の家におもむいて貪りなきこと
(3)卑賤のわざをなして識者の非難をうくることなかれ
ただ、かかる慈しみをのみ修すべし
生きとし生けるもののうえに幸いあれ、平和あれ、安楽あれ
(4)目に見えるものも、また見えざるものも
遠くになるものも、また近きものも
すでに煩悩尽くるものも、また尽きざるものも
生きとし生けるもののうえに幸いあれ
(5)あたかも、母性がそのひとり子をおのが命に代えてまもるがごとく生きとし生けるもののうえにかぎりなき慈しみの思いをそそげ
(6)また一切の世間に対してかぎりなき慈しみの思いをそそげ
上にも、下にも、また四方にもうらみなく、敵意なく、ただ慈しみをのみそそげ
(釈迦の言葉は増谷文雄訳による。増谷文雄・梅原猛「仏教の思想Ⅰ 知恵と慈悲<ブッダ>」=角川文庫=より)
梅原 仏教の思想の根底に、世界は苦であるがその苦の原因は人間の欲望にある、という考えがある。
この欲望を完全にコントロールするのが仏です。
仏の発見
五木 寛之 (著), 梅原 猛 (著)
平凡社 (2011/3/8)
P39
三七〇 煩悩の汚れはすでに尽き、高慢を絶ち、あらゆる貪りの路を超え、みずから制し、安らぎに帰し、こころが安立しているならば、かれは正しく世の中を遍歴するであろう。
ブッダのことば―スッタニパータ
中村 元 (翻訳)
岩波書店 (1958/01)
P77
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