大般若経 [宗教]
「大般若経」というのは、古くから伝わっている般若経典とともに、孫悟空が活躍する「西遊記」で有名な玄奘三蔵が新しく持ってきた般若経典のすべてを新たに訳したものです。
~中略~
「大般若経」が大乗仏教の中心経典であることは間違いありません。
梅原猛の授業 仏になろう
梅原 猛 (著)
朝日新聞社 (2006/03)
P205
P208
「大般若経」には、前にお話した六波羅蜜の教えが詳しく語られています。「六波羅蜜の徳を備えないような人は決して仏教徒ではない」 という考えが、そこにはあります。
この般若の教えを要領よく短くまとめたのが「般若心経」という、日本で最もよく読まれている経典です。
弘法大師空海は「般若心経秘鍵」と いう本を書いて、ここにすべての仏教が含まれていると考えます。
そして最後に「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦」という陀羅尼(呪文) が来ますが、この陀羅尼のなかに全仏教が含まれているというのです。
~中略~
しかし、私は「般若心経」だけで般若の教えを理解することに多少の疑問があるんです。
というのは「般若心経」には「大般若経」で詳しくと かれている六波羅蜜の徳が少しも説かれていないからです。
~中略~
「大般若経」のなかには般若経典とともに「理趣経」や「金剛般若経」というものも含まれています。
「理趣経」は真言密教の経典となり、「 金剛般若経」は禅の経典ともなりました。
ですから、真言密教も禅仏教も般若の思想のひとつの展開と考えられなくはないと思います。
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