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日蓮 [宗教]

 彼(住人注;日蓮)は、法然のように浄土を死後に行くべき遠い国に求めるべきではなく、今われわれがいるこの国がすなわち浄土であると説く。
この世は、がらくたのような汚いものがいっぱいある娑婆であるが、この娑婆世界こそ久遠実成の釈迦、すなわち永遠不滅のお釈迦さんがいらっしゃる浄土であることを日蓮は声高く叫ぶ。
この娑婆世界以外にわれわれの生きるところはない、娑婆を浄土として力いっぱい生きよと日蓮は迷える衆生に命じるのである。

梅原猛、日本仏教をゆく
梅原 猛 (著)
朝日新聞社 (2004/7/16)
P159

梅原猛、日本仏教をゆく

梅原猛、日本仏教をゆく

  • 作者: 梅原 猛
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2004/07/16
  • メディア: 単行本

 

DSC_6202 (Small).JPG臼杵石仏ホキ石仏

P161
彼は 本門(「法華経」二十八品の後半十四品)に釈迦仏教のもっとも肝要な思想があると論じた。
その思想とは二乗作仏 と久遠実成である。

二乗作仏というのは、他の大乗仏教が声聞、縁覚などの釈迦の直弟子たちは成仏できないと説くのに対して、声聞、縁覚はもちろん、闡提(せんだい)すなわちどのような悪人も成仏できるというせつである。
また久遠実成というのは、「法華経」でこのような説法をしている釈迦は歴史的な存在をはるかに超えた永遠の昔から存在している釈迦であるという説である。
~中略~

 日蓮が二乗作仏と久遠実成を強調するのは、釈迦仏を本尊とする法華仏教に、法然仏教のような誰でも救われるという平等精神と、阿弥陀仏や毘盧遮那仏や大日仏を本尊とする仏教のような永遠性と深い哲理を所有せしめようとする意志によるものであると私は思う。

 

梅原猛、日本仏教をゆく

梅原猛、日本仏教をゆく

  • 作者: 梅原 猛
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2004/07/16
  • メディア: 単行本
 
 
 
 
 

「蒙古軍はかならず来襲する、この国難を乗り越えるには法華経以外の経の祈祷を行ってはならない」という諫言はついに採用されない。
文永十一年(一二七四)五月十二日、日蓮上人は「三たび諫めてき聞かざれば、すなわちこれを去る」という古訓にしたがって、鎌倉を去って甲斐国身延山に赴いた。
~中略~
 この詩人的な上人には多くの名言がある。「禍は口より出でて身を破る、福(さいわい)は心より出でて我を飾る」もいいし、
「我日本の柱とならん、我日本の眼目とならん、我日本の船とならん」も、強固な決意のほどが窺(うかが)われていい。
 面白いのは「下剋上」という言葉。これも日蓮がはじめて使った。正法である法華経が、真言宗・禅宗・念仏宗・律宗によって ないがしろにされている、すなわち「念仏無限、禅天魔、真言亡国、律国賊」である。その状況を憂えて、それを下剋上と日蓮は評したのである。

この国のことば
半藤 一利 (著)
平凡社 (2002/04)
P92

 

この国のことば

この国のことば

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 単行本


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