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円空 [見仏]

 円空については、いままでいろいろなことが言われてきました。どういうわけか円空を研究するのは民間の学者ばかりで、アカデミズムに は円空の研究者はほとんどいません。
ほかの仏師について研究者はいくらでもあるんですよ。例えば定朝、運慶、快慶、彼らについてはアカデミズムの研究者はたくさんいますが 、円空についてはほとんどいない。
~中略~

円空は、現代の芸術家に嫉妬を感じさせるような仏像、神像をたくさんつくった。ところがその円空がアカデミズムには研究者がいないという 妙なことになっているんです。
 それはなぜか。定朝や運慶、快慶は時の権力者に認められて、彼らの要請によって仏像をつくった。だから、中央で認められている。円空は、中央で認められなかった。
地方の人に愛されたんです。特に飛騨の人には大変愛された。

梅原猛の授業 仏になろう
梅原 猛 (著)
朝日新聞社 (2006/03)
P221

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臼杵石仏山王石仏

衣食はすべて喜捨に頼って、野宿の旅をつづける。みずからは乞食沙門と称していた。
「けさの野になまめきたてる女郎花かからぬ袖に花の香ぞする」
「我恋はけさの御山にあらなくにかかる心はわびしかりけり」
 円空さんの歌、これも色っぽくていい。
~中略~
 元禄八年(一六九五)七月十五日、円空さんの命日である。享年六十四。穴の中にみずから入り、竹筒を差し込んで「地中で鐘を鳴らす。その音が絶えたら、そのときがわれの入滅のしるしなり」と遺言した。
鐘の音はしだいしだいに小さくなり、この日、ぷつりと途絶えた。集まった村人たちは動かずに立つ竹筒を囲んで号泣した。

この国のことば
半藤 一利 (著)
平凡社 (2002/04)
P158


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