皇統の一系 [日本(人)]
「我が国に世界無比の幸福がある、皇統の一系がこれである。
加えておくれて開く、これまた幸いである。他日大いに成る事があろう。
ただ君徳を輔翼(ほよく)し奉り条理のあるところに任ずれば、開明無比の域に達せんことは、あえて疑いを容(い)れない」
横井小楠―維新の青写真を描いた男
徳永 洋 (著)
新潮社 (2005/01)
P150
ユダヤ人には、出生による特別な人間(いわば神の子なるもの)が存在するとは絶対に考えられなかった。処女降誕なき民である。
~中略~
一方、それではなぜ日本人に処女降誕がないのか。理由はおそらくユダヤ人とはちがうであろう。
この、神話時代から連綿とつづいた万世一系の国では、一つには氏素姓が何よりも大切であったことと、もう一つには性と生殖に関する考え方が、牧畜民とは全然ちがっていたためであろう。われわれが何よりも興味深く感ずるのは、ただに政治・経済だけでなく、芸術・技芸・宗教に至るまで現在もなお一種の相伝であることである。
家元制度というのは非常に面白いが、ユダヤ人の目から見れば、日本のすべての機構は家元制度である。
~中略~
いわばイスラエルでは、神の召命ということで、その人間の系図や出生と関係なく一つのことが始まるがゆえに処女降誕はありえないし、一方日本では全くこの逆で、すべては系統をたどって相伝されるがゆえに処女降誕の余地がないといえる。
日本人とユダヤ人
イザヤ・ベンダサン (著), Isaiah Ben-Dasan (著)
角川書店 (1971/09)
P180
詩人のエルンスト・モーリッツ・アルントは、一九世紀の始め頃に、「たまたま地理的にみて一国の自然な限界が、同一の民族と同一の言語とによって満たされた場合、その国家はあらゆる神々に感謝を捧げるべきである。
ここに市民的な幸福と同時に、人間的な発展への胚芽があるからだ」と言った。
しかし日本人にとってはなんでもない当たり前のことが、ドイツ人にとっては、ほとんど無い物ねだりに近く聞こえる。
~中略~
ドイツ民族の全歴史を書こうとすると、いきおい現在は外国の領土となっている所の歴史を書かなければならない羽目になる。
地政学入門―外交戦略の政治学
曽村 保信 (著)
中央公論社 (1984/01)
P94
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