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接客行 [対人関係]

 「機嫌」という言葉自体は、「人の気持ちや気分。時機。都合」という意味があると辞書にはあります。
 この言葉がもともと仏教用語だったことをご存知の方はさほど多くないせしょう。

 しかし仏教における「機嫌」は、言葉の意味がだいぶ違ってくるようです。
「人々がそしりきらい、不愉快に思うこと」 もともとは「譏嫌」と書くようで、「譏(そし)り嫌うこと」ですから、かなりネガティブな意味だったようです。
 その由縁は、修行に励むお坊さんたちが、世間から「譏り嫌わ」れないように、「譏嫌戒」という戒律を設けたところにあるようです。
~中略~

 「人のご機嫌を取る」というと、「あいつは人の顔色ばかりをうかがっている」と、悪い意味にとらえられることもあります。しかし、家庭でも恋愛でも、人間関係がうまくいっていないときというのは、得てして相手の機嫌を取ることを怠っているときです。
「相手のことを思って行動する」のは、人間関係の基本です。相手の機嫌をちゃんと取って、「ご機嫌」になってもらえば、回り回ってこちらの「機嫌」も良くなります。
~中略~

「ご機嫌を取る」と似たような言葉に、「相手の身になって考える」というのがあります。しかし「相手に身」というものが本当はどういうものかわかるはずもありません。
あくまでこれは「自分の考える相手の身」です。しかし、「ご機嫌を取る」であれば、これは「相手の身」にならなくてもできるはずです。
 なかなかそう上手くいかないのが人間ですが、それも「修行」だとあきらめて、人の機嫌を取ろうではありませんか。

マイ仏教
みうらじゅん (著)
新潮社 (2011/5/14)
P134

DSC_6004 (Small).JPG高松

P149
しかし考えてみれば、どんな仕事でも「機嫌を取る」行為から免れることはできません。
 キャバクラ嬢やフライトアテンダント、レストランのウエイターさんといった接客業をはじめ、サラリーマンやOLも、部下は上司の、上司は社長の、社長はお得意先の・・・・・というように、「ご機嫌うかがい」は無限にループしていきます。
 人間はみんな「接客行」なのです。


嫌だと思っている人と付き合うときに、この人のこと嫌な人だ、と思って付き合い始めると、その人との付き合いはそういう付き合いにしかなりません。
朝起きたときにほとんど無意識といっていいくらいに頭の中にメッセージが流れてきます。「嫌だなあ、またあの人と今日も一緒だ」と。まだ何も起こっていないうちから、嫌だなというように感じてしまいます。
そのように思ったらそのようになります。たとえそうでないことが起っても、先の例と同じで、例外と片付けられてしまうことになります。
 ですから、一度、これまでのことはすべて水に流して、今日私はこの人と初めて会うのだ、と思ってみるのです。
これはかなり難しいことである、といわなければなりません。

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために
岸見 一郎 (著)
KKベストセラーズ (1999/09)
P172 


 キャバクラが好きな男性は、お姉さんたちとセックスいたいから行くわけではなく、(もちろんそこは見え隠れするわけですが、手っ取り早くセックスしたいなら、ほかのサービスを利用しますよね)、お姉さんたちから「山本さんってすごーい!」「田中さんのこういうところが大好き」「なんか好きになっちゃいそう」なんて言ってほしくて、行くのではないでしょうか?
 キャバクラを選ぶということは、言語による快感を求めているということ。慣れているお姉さんは、お客さんに、「社会的報酬」を与えることが上手なんですね。男性は、彼女たちが与えてくれる擬似的な「社会的報酬」を買いに、キャバクラに行くのです。

脳はどこまでコントロールできるか?
中野 信子 (著)
ベストセラーズ (2014/8/19)
P32


接客業の人材教育の専門家から、目の前の人を好きになるコツを聞いたことがある。
 その人のセミナーでは、まず、目の前の人のいいところ、好きだなあと思えるところを五つ、書き出してもらうそうだ。制限時間は一分間。つまり、ほとんど反射的に、相手のいいところを見る、そういう訓練を繰り返すのである。
 接客業でこうした訓練をするには理由がある。短時間の接客の間であっても、相手を好きにならなければ、相手から好意を持てもらえないためだ。
 つくり笑いやマニュアルどおりのほめ言葉を口にしても、お客の心は動かない。お客の心が動かなければ本当の満足を与えることはできないから、たとえばリピーターをつかむというような、成果にはつながっていかない。  これは、ふだんの人間関係にもあてはまる。まず、相手のいいところを見るようになれば、相手の欠点や嫌いなところはそう気にならなくなる。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P113



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