いやしろち [言葉]
五木 室生寺に行って感じるのは、地のエネルギーです。あそこはむかし、火山帯だった。休火山帯で岩肌が露出していて、いまでも、下から地底のマグマがふつふつと噴き上がってくるような印象を受けるんですよ。
望月 そうですね。日本の言葉で「いやしろち」というのがあるんですね。そこは気が出ていて、そこに育つ植物も元気で、いるだけでいい気持ちになる場所なんですね。家を建てると、住む人は病気もせず元気でいられる。そこにお店ができると、人が集まって商売もうまくいくと。
五木 ええ。
望月 反対に「けがれち」とか「きがれち」といって、木が枯れるという土地もあるんです。そこは植物もあまり育たない。
家を建てればその家の人が病気ばかりしてしまう。商売してもあまり人が寄ってこない。むかしの人は、土地によって、なにかを感じたんですね。
気の発見
五木 寛之 (著), 望月 勇
幻冬舎 (2005/09)
P125
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