針供養 [日本(人)]
年中行事は、いまこの忙しい世の中に、残っていくものだろうか、消えるものだろうかと時折おもう。
針供養なんかも、もとは日本針だけのことだったろうけれど、現在では洋服を仕立てるミシン針もメリケン針も、その日には淡島さまへ持っていって、ご供養をしているのだろうとおもう。
折れ針をわざわざためておいて、年に一日の日をきめて、遠い神様まで運んで、冥福を祈り感謝するというのは、どう考えても今ふうではないけれど、そう簡単に消え去らない行事で残っているのである。
~中略~
節句、祭り、祝い、記念日、祓い、おくり、除け、払いなどと、行事にはいろいろな言葉がつくが、針には供養という呼びかたがつき、役を了(お)えたあとの鎮めをする、やさしい気持ちがうかがえるのは、やはり残っていい行事だろう。
幸田 文 (著), 青木 玉 (編集)
幸田文しつけ帖
平凡社 (2009/2/5)
P130
針供養>>>2月8日、または12月8日に行われる。
【送料無料】幸田文しつけ帖 |
タグ:幸田 文
コメント 0