高度成長を支えたメカニズムの一つ [日本(人)]
日本経済の高度成長を支えたメカニズムの一つは、欧米の金融機関や産業界には理解し難い低利融資の存在であった。
それを可能にしたのが、低貯金金利政策という戦後型徳政令と、後に触れる財政投融資制度だった。
~中略~
一方、銀行や企業は、不動産や出資や持ち合いで獲得した株式を、ほとんど売却しなかった。特に資本自由化以後は、安定株主として持ち続けた。
そうした不動産や株式の価格は長期間にわたって上昇し、銀行や企業は膨大な含み益を蓄積することになった。
これが戦後の日本で、長期間、巨大な規模で展開されてきた徳政令のメカニズムである。
徳政令を発布したのは現代の「得宗」こと大蔵省、~略~徳政令の対象は銀行を窓口とした産業界、徳政令の被害者は資産を形成し損なった預貯金者、恩恵を受けたのは含み益を抱えた銀行と企業、そしてこの徳政令に、政府は一文の負担もしていない。
「借金棒引き」の経済学 ―現代の徳政令
北村 龍行 (著)
集英社 (2000/8/17)
P97
臼杵石仏山王石仏
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