情けは人のためならず」のしくみの喪失 [社会]
二〇世紀の社会科学がやってきたことは、理性の力だけでダイエットを成功させようとするようなことでした。自然科学の急速な発展をよそに、経済学や社会学をはじめとする社会科学がほとんど発展してこなかったのは、こうした間違った信念のためだったと言っても、決して過言ではないと思います。
~中略~
自分の利益を犠牲にして他人の利益をはかる人たちは、利己的な人たちに淘汰されて、とっくの昔に消え去ってしまっているはずなのに、そうなっていないのは不思議な話です。
~中略~
つまり、利他的に行動すると、結局はまわりまわって自分に利益が戻ってくるしくみが人間の社会にはずっと組み込まれていた。
~中略~
その結果見えてきたのは、現代の日本社会が直面している倫理の喪失とは、実は、倫理の底にある「情けは人のためならず」のしくみの喪失の問題だということです。
日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点
山岸 俊男 (著)
集英社インターナショナル (2008/2/26)
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日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点
- 作者: 山岸 俊男
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2008/02/26
- メディア: 単行本
「心から人の役に立とうとすれば結果として自分自身のためにもなるということは、人生における最も美しい報酬のかたちである」
哲学者・思想家 ラルフ・ウォルドー・エマソン
ハーバードの人生を変える授業
タル・ベン・シャハー(著), 成瀬 まゆみ (翻訳)
大和書房 (2015/1/10)
P34
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