政府の本務 [日本(人)]
一八 談国事に及びし時、慨然として申されけるは、国の凌辱せらるるに当たりては縦令国を以て斃(たお)るるとも、正道を践(ふ)み、義を尽すは政府の本務也。
然るに平日金穀理財の事を議するを聞けば、如何なる英雄豪傑かと見ゆれども、血の出る事に臨めば、頭を一処に集め、唯目前の苟安を謀るのみ、戦の一字を恐れ、政府の本務を堕(おと)しなば、商法支配所と申すものにて更に政府には非ざる也。
西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想
西郷 隆盛 (著), 猪飼 隆明 (翻訳)
角川学芸出版 (2007/04)
P70
西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 文庫
人々は「天然ノ生理」にしたがってそれぞれの土地で生活を送るべきだという価値観です。なにか人為的な操作をしたり、普遍的な政策を強要するのではなく、彼らの「天然ノ生理」をより豊かに保障することこそが、権力者のなすべきことだったのです。
儀助(住人注;笹森儀助)の基本的立場は、日本国家の「辺境」に位置する人々の生活は「天然ノ生理」に根拠づけられており、それはなんら劣ったものや、差別されるものではない、中央政府が行うべきことは「辺境」に住む人々が生来の生活をすることを保障し、彼らの生活が「天然ノ生理」にしたがってよりよくなるように援助支援することでした。
東北―つくられた異境
河西 英通 (著)
中央公論新社 (2001/04)
P171
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