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仏像 [見仏]

さて、みなさん、喜びも楽しみも悲しみも怒りも、すべての感情や心身のバランスを完全にコントロールしきった顔って、どんな顔だと思いますか?想像できますか?それは仏像のお顔です。あの顔、あれは仏教の理想を端的に表現しています。
~中略~

 仏像は大別して四つくらいの機能を発揮していると思われます。
 ひとつは<①信仰の対象>です。そもそも仏像は、仏教の大衆化に沿って発達してきました。人々の宗教的熱情が投影されたものでもあるわけです。仏像と対面すると、スピリチュアルな関係性が共振現象を起こすこともあります。~略~
 ふたつ目として、<②修業の補助>という機能があります。仏教はイマジネーションの修業がすごく豊富です。中でも「観想」という「仏の姿」や「浄土のありさま」を観るトレーニングは重要です。その手助けとして仏像や荘厳(この場合は、仏像のまわりにあるさまざまな飾りつけ)を活用するのです。~略~
 さらに<③教えやメッセージの象徴化>という機能があります。仏像の姿勢、手の形、視線、持ち物、脇時から台座や光背に至るまで、さまざまな教えや意味を象徴的に表現しています。~略~
 そしてもうひとつクリエイター自身の<④霊性の発現>という意味があると思います。古来、自分自身の内面から溢れ出す宗教性を創作へと向ける人は数え切れません。
円空上人や木喰上人などによる造形は、まさに霊性の発露といった趣です。また仏師さんが「私が仏を彫るのではない。材料の中にもともとおられる仏様を出すのだ」などと言うのを聞くと、宗教と芸術は通底していることをあらためて確認することができます。

いきなりはじめる仏教生活
釈 徹宗 (著)
バジリコ (2008/4/5)
P305

DSC_6254 (Small).JPG  犬飼石仏

 仏像はこうして、見る人間の状況、体調によっていくらでも伝えることを変える。それが私にとっての仏像の魅力のひとつだ。人間の似姿をとる仏像の中に、我々は自己を投影し、自己カウンセリングのように様々な発見をする。

見仏記ガイドブック
みうらじゅん(著), いとうせいこう(著)
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/10/19)
P64


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