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お客さんに感動してもらおう! [経営]

 飼育係は、この動物園の仕事が最高だと思っているんですよ。チンパンジーの飼育を担当したら、チンパンジーがものすごく面白いと思う。カピバラを担当している者も、ハクチョウを担当している者も、「こんな面白い仕事はない」って言っている。
どうして、自分たちがこれだけ動物の行動や表情を見て面白いと思っているのに、お客さんは同じ動物を見て、面白くないのか。
それで私はふと、「そういえば、お客さんのことを意識したことがなかったな」と思い、改めて、お客さんの立場になって園内を歩いてみることにしました。そうして見てみると、あることに気づきました。それは、動物はお客さんにお尻を向けているし、飼育係もお客さんを見ていないということだった。
 なぜ動物がお客さんを見ていないかというと、飼育係や獣医は、いつも後方で仕事をしていたので、どうしても動物たちの意識がそちらに向いてしまうからなんです。
そうしたやりかただと、動物にとって、いつも目の前にいるお客さんは関心事ではなく、言わば木や風の動きと同じで、自分にとっては直接関係ない生き物と捉えてしまうんですね。
 動物たちは、飼育係が来ることを身構えて待っているんです。
~中略~

 動物は、私たちがいなくなれば気を抜きますから、お客さんはいつもその状態を見ていたんですね。~中略~

つまり、なぜお客さんが入らないのかは、よくよく考えれば当たり前のことで、飼育係たち感じている感動を、お客さんが同じように感じていないということにあったわけです。

マネジメントは動物園に学べ 2011年5月 (仕事学のすすめ)
小菅 正夫 (その他), 野田 稔 (その他)
NHK出版 (2011/4/25)
P16

TS3E0337 (Small).JPG到津の森公園

P24
動物園は、動物たちの魅力を伝える場所であるというのが大前提なわけです。動物園の人間が、こういうことに早く気がつかなければいけなかった。

 そういう意識をもちながらワンポイントガイドをやり続けていくうちに、自分たちが当たり前に知っている知識を、お客さんは何も知らないということに改めて気づかされました。
飼育係も、どうやったらもっと魅力を伝えられるかと考えるようになり、いろんなアイディアが出てくるようになりました。


タグ:小菅 正夫
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