先ず勝敗の念を度外に置き、虚心坦懐、事変に処せよ [処世]
海舟はまた、禅と剣とによって得た心境について、
「一たび勝たんとするに急なる、忽(たちま)ち頭熱し胸跳り、措置却って顚倒し、進退度を失するの患を免れることは出来ない。
若し或は遁れて防禦に地位に立たんと欲す、忽ち退縮の気を生じ来りて相手に乗ぜられる」
「おれも、此の人間精神上の作用に悟了して、何時も先ず勝敗の念を度外に置き、虚心坦懐、事変に処した、夫れで、小にして刺客、乱暴人の厄を免れ、大にして瓦解前後の難局に処して、綽々(しゃくしゃく)として余地を有(たも)った」
とも説明する。自慢するところがいささか生臭いが、しかし達人の境地ともいうべきものであろうか。
勝海舟 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
松浦 玲 (著)
中央公論新社 (1968/04)
P20
勝海舟―維新前夜の群像3 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
- 作者: 松浦 玲
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2021/02/26
- メディア: 新書
緒方宮迫西石仏
眼裡、点の灰塵なくして方(まさ)に書千巻を読むべし。
胸中、些(いささか)の渣滓(さし)なくして纔(わずか)に能(よ)く世に処すること一番す。
酔古堂剣掃「人間至宝の生き方」への箴言集
安岡 正篤 (著)
PHP研究所 (2005/7/1)
P161
酔古堂剣掃(すいこどうけんすい) 「人間至宝の生き方」への箴言集 (PHP文庫)
- 作者: 安岡 正篤
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 文庫
進退は、唯義の在る所、義の精微は、心にあり。迹(あと)にあらず。
私心を去りて、本心を見る。
其(その)唯(ただ)検心工夫有るのみ。
山田方谷のことば―素読用
山田方谷に学ぶ会 (編集)
登龍館 (2007/07)
P29
五 何かするときいやいやながらするな、利己的な気持ちからするな、無思慮にするな、心にさからってするな。君の考えを美辞麗句で飾り立てるな。余計な言葉やおこないをつつしめ。
マルクス・アウレーリウス 自省録
神谷 美恵子 (著)
岩波書店 (2007/2/16)
P40
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