貧乏を憎んで人を憎まず [対人関係]
[第百四十二]前略~
世捨て人の独身で何も持たないのが、いろいろ足手まといの多い人が何事にもへつらい、欲が深いのを見て、一途に軽蔑するのは、間違いだ。
その本人の身になって考えれば、いとしいと思う親のため、妻子のためには、真実、恥も忘れ、盗みもしそうなことである。それゆえ、(結果として)盗人をしばり、悪事だけを罰するよりは、(あらかじめ)世の人が飢えたり、寒い思いをしたりしないように、政治を行ってゆきたいものだ。
人間はちゃんとした貯え(財産)がないと、ぐらつかぬ心を持ち続けていることはできない。~後略
徒然草―現代語訳
吉田 兼好 (著), 川瀬 一馬
講談社 (1971/12)
P260
斉(せい)の管子の「衣食足りて礼節を知る」ということばがあるが、これは、法治主義の法家の思想だとされている。
孔子は顔淵のような特殊な人物や孔子の門下生は別として、一般の市民は、相当な生活水準を確保してやったうえではじめて教化が可能となると考えたので、その点では法家の思想とは対立しない。
子路篇
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P361
P119
一般に、意志力がすり減ると、欲求を抑えるのにとても苦労するようになり、その苦労のせいで正直さまでがすり減ってしまうのだ。
P121
消耗すると論理的思考力が多少低下すること、またそれとともに道徳的に行動する能力も衰えることがわかった。
P128
消耗を理解することで、自制が必要な状況(たとえば職場での退屈きわまりない仕事など)には、まだ消耗していない日中の早い時間に(できる限り)向き合うべきだとわかる。
ただしそう言われたからと言って、すぐにそのとおりにできるものではない。なぜならわたしたちをとり巻く商業的な力(酒場、オンラインショッピング、フェイスブック、ユーチューブ、オンラインゲームなどなど)は、誘惑と消耗の両方を糧にしているからだ。だからこそ、あれほど成功しているのだとも言える。
~中略~
近づきすぎて身動きがとれなくなる前に、欲求の引力から抜け出すのが得策だ。~中略~どうしても無理だという人は、誘惑と戦う能力を養ってもいい。100まで数える、歌を歌う、行動計画を立ててそれを守りとおすなど。
ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 櫻井 祐子 (翻訳)
早川書房 (2012/12/7)
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