夏の台所は「つとめる」台所 [雑学]
野菜にしても魚にしても、季節があるのは当然だが、台所にも季節がある。夏の台所は「つとめる」台所である。
第一が、暑いから台所作業そのものがちと骨が折れる。つぎが腐敗が早いこと、腐敗がはじまってしまってから気がついたのでは、台所は信用失墜なのである。
つまり清潔の感度をふだんよりぐんとあげていなくてはいけないのだが、これは疲れる。夏の台所は絶対に「だいじょうぶ」という信用をもちつづけなくてはいけない。
(一九五七年 五十二歳)
幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)
P134
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