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新しい文明の型への憧憬 [日本(人)]

  余談ながら、日本人があたらしい文明の型をみたときにうける衝撃の大きさとふかさは、とうてい他民族には理解できないであろう。
 日本人を駆りたてて維新を成立せしめたのは、江戸湾頭でペリーの蒸気軍艦をみたときの衝撃であるということは、すでに触れた。

 衝撃の内容は、滅亡への不安と恐怖と、その裏打ちとして新しい文明の型への憧憬というべきもので、これがすべての日本人におなじ反応をおこし、エネルギーになり、ついには封建という秩序の牢獄をうちやぶって革命をすらおこしてしまった。この時期前後に蒸気軍艦を目撃した民族はいくらでも存在したはずだが、どの民族も日本人のようには反応しなかった。
~中略~

事実、三年後にかれら(住人注;島津斉彬、鍋島直正、伊達宗城)のひきいるこの三藩が、相前後してそれをつくることに成功したことは、大げさにいえば世界史的奇跡といっていい。

花神〈上〉
司馬 遼太郎 (著)
新潮社; 改版 (1976/08)
P204



  

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 考えてみれば、明治後、ペリーに対してもハリスに対してもかれらを開国の恩人と見、戦後、あきらかになったブルック大尉の功に対してもそれを扱った諸著作は好意をもってふれている。
たいていの日本人は、自分たちの近代の成立にとってアメリカがどういう役割を果たしてくれたかということを知り、好意をもっている。
「日本人は他国をみる場合、たぶんに情緒的になる」
 という意味のことをあるアメリカ人の著書で読んだ。たしかにわれわれはペリーでさえ開国の恩人とみている。その基礎に情緒的なアメリカ好きの感情がある。
しかし、アメリカ人の場合はちがうだろう。目前のテーマについて明晰な論理を構築することがすべてで、その場合過去の歴史的事情などを情緒的に加えない。たとえ親日・知日派であってもである。
その点、彼らのほうがわれわれより男性的なのである。

アメリカ素描
司馬 遼太郎(著)
新潮社; 改版 (1989/4/25)
P109


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