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心柄人柄がものをいう [処世]

 何度かそういうお手伝いをした甲斐に、取込事の台所の大変さもわかりましたし、それがうまくいくかどうかは、大勢の働き手たちの和、不和にかかっていることも、その和は台所を宰領(さいりょう)する人の、人柄にかかっていることも知りました。
切盛り、按配といいますが、大根を切り人参を盛るばかりが切盛りではなく、集まってくるさまざまな面倒ごとをさっさと捌(さば)いていくのが切盛りです。
煮焼きの味ばかりが按配ではではなくて、予定外の事態や働く人の気持ちを、ぬかりなく上手に処理指導するのが按配なのでした。

印象ふかかったのは、料理のうでのあるかたが宰領になって、その台所がちっともうまくいかなかったことです。
取込の台所は、やはり心柄人柄がものをいうのであって、煮炊きの多少の技術が先行するものではないと思います。~略~
(一九六六年 六十二歳)

幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)
P43

幸田文 台所帖

幸田文 台所帖

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 単行本

 

IMG_0049 (Small).JPG大正屋椎葉山荘


タグ:幸田 文
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