足立山 [雑学]
関門海峡に突出した企救半島の脊梁部が企救山地だ。宇佐八幡宮(大分県宇佐市)へ向かう和気清麻呂にも、その主峰の竹和山(ちくわやま)(五九八メートル)は美しく見えただろう。
神護景雲三年(七六九)、「道鏡を皇位につければ世は治まる」との宇佐神宮の神託を確かめるため、清麻呂は豊前に下された。
~中略~
結局、清麻呂が復命したのは、「わが国は君臣の別が定まっており、帝位は必ず皇統の者で継がしめよ。無道の人は早く掃い除くべし」との神託だった。
道鏡の即位はならず、清麻呂は足の筋を切られたうえに「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」と改名させられ、大隅国に流された。
~中略~
宇佐八幡宮で、今度は「企救郡の山の上に温泉を涌かしてやるから入湯せよ」との、少し気の抜けるような優しいお告げを聞いた。と、突然3百頭を超えるイノシシの群れが出現。うち一頭が清麻呂を乗せて走り、竹和山の麓の温泉に運んだという。
湯治によって切られた足の傷を回復した清麻呂は山の頂上まで駆け登り、宇佐八幡に「足が立った」ことを報告した。よってこの山を「足立山」と呼ぶようになったという。
あなたの知らない福岡県の歴史
山本 博文 (監修)
洋泉社 (2012/10/6)
P36
下関市 海峡ゆめタワー
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