薩摩藩島津家というのは徳川家よりもはるかに古い大名で、鎌倉以来の名家である。
さらには閉鎖的な国風をもち、江戸体制のなかにあっても奇蹟的に鎌倉風の武士気質を温存していた。そういう精神体質という点では同時代人でさえ異国を感ずるほどに保守的であった。
たとえば日本人の美質をあげるとすればことごとく薩摩気質に帰納されてしまうほどに原日本人的な特徴をもっているが、それだけに思想で動くことはあまりなく、集団としては国ぶりで動いてしまう。
花神 (下巻)
司馬 遼太郎 (著)
新潮社; 改版 (1976/08)
P492
平山温泉
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