SSブログ

なぜアメリカは日中戦争で中国を支援したのか [国際社会]

 アングロサクソンとは、先に述べましたように世界で最も長期戦略にたけた民族です。 その彼らが(住人注;日中戦争で)中国支援に傾いたのは、心に五つの要素があったからと考えられます。
第一は市場としての中国です。いつか世界一の巨大マーケットになる可能性を秘めた中国市場を、日本に独り占めされたらたまらない、と考えたのです。
~中略~
第二はナチスドイツの台頭です。日本を中国と戦わせておけばソ連はソ満国境にそれほど兵を置かなくてもよくなり、西側のドイツとの国境に兵を回すことができるようになります。
~中略~
第三は人種です。アジアの最強国日本と最大国中国による戦争を長引かせておけば両者が共倒れとなり、白人の独占してきた植民地権益への脅威となり始めていた有色人種、なかんずく日本の勢いを当分抑えることができる、という阿吽の呼吸が米英にあったように思われます。
 そのうえ、日本は第一次大戦後のパリ講和会議で、「人種差別撤廃」を提案したとんでもない国なのです。その時は議長のウィルソン大統領がどうにかうっちゃりましたが、日本が大きくなったらやっかいなのです。
~中略~
第四は中国の世界一の宣伝力と、それに動かされた米国世論です。
 中国へ日本が無法無慈悲な侵略を行なっている、と「国民党中央宣伝部国際宣伝処」が中心となり国際世論に、とりわけアメリカに、一八番(おはこ)と言える嘘八百の大宣伝を行ったことです。
 それだけではありません。米国世論の工作には蒋介石夫人の宋美鈴が大活躍をしました。
~中略~
 第五はアメリカに広く深く根付いていた親中反日の精神です。中国に来た多くの宣教師は、日本人よりはるかに教化しやすい中国人に好意を持ち、数億の民をキリスト教徒にするという壮大な夢を描きました。先述のタイム社長ヘンリー・ルースの父親もその一人三十年以上も当地で布教をしていました。

日本人の誇り
藤原 正彦 (著)
文藝春秋 (2011/4/19)
P179

日本人の誇り (文春新書)

日本人の誇り (文春新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: 新書

 

TS3E0679 (Small).JPG呉市 下浦刈  梶ヶ浜ビーチ

P191
 このような親中反日の感情が、主に二千五百人という在中国宣教師やその関係者からの偏った情報によってアメリカで醸成されました。~中略~
宣教師達は中国があたかもキリスト教国になりうるかのような錯覚をアメリカ人に広め、中国への援助を増加させました。在中および本国の宣教師たちはアメリカにおける一大ロビイストとなっていたのです。

P193
 日本軍の北部仏印進駐は中立国米英からの軍事物質援助を絶ち、無意味な戦争を一刻も早く終わらせるために必要だったのです。
~中略~
日中とも戦争などしたくなかったのです。ソ連が火をつけ、その火が消えぬよう米英が懸命にあおり続けた戦争だったのです。米英ソの目的は十二分に達せられました。日中とも多くの犠牲者を出し大いに疲弊しました。
 日本軍は百万近い軍隊を占領地と補給線の防衛のため中国に駐留させることとなり、ソ連やアメリカとの戦いに備えるべき国力をすり減らしました。またスターリンの思惑通り、反共の国民政府軍はとことん打ち破られたため、終戦後には主敵の共産軍にあっという間に負けて台湾に追い出されました。
しかし、米英は最終的に策士スターリンに完敗しました。日本を追いだした後の満州、中国、北朝鮮はすべて共産化され、門戸開放どころではなくなってしまったからです。

日本人の誇り (文春新書)

日本人の誇り (文春新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: 新書

 


タグ:藤原 正彦
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント