日本の宿痾 [日本(人)]
仕方なかったと言え、日本にはすべきこともあった私は考えます。(住人注;帝国主義列強に)参加か不参加かを考える前に、欧米列強に対し帝国主義や植民地主義そのものが誤りであり、恥ずべきものであることをしっかり説得し説教すべきでした。
美感のすぐれた日本人には、それらが汚く醜いものであることが、論理や理性を経なくても一目瞭然だからです。
日本が欧米を説教したことは未だありません。帝国主義、共産主義、新自由主義、最近ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など、常に欧米の決定したドグマに乗るか乗らないかを選択するのみです。自ら新しいドグマを提出しることも、提示されたドグマを粉砕することもしません。
謙虚の表れとも言えますが、日本人の価値観を高く掲げ、迫力を持って欧米を説得説教する、ということを決してしようとしないのは、日本の宿痾とも言えます
日本人の誇り
藤原 正彦 (著)
文藝春秋 (2011/4/19)
P225
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