世代間ギャップ [雑学]
若い人たちは「○○を持っているから」「××ができるから」というように目に見える何かでプライドを満足させているわけではなく、「○○だけはしていない」「××はされていない」ということが自分の誇りになっているのではないか、ということだ。
~中略~
もっといえば、若い世代はモノやお金で得られていたかっての日本人のプライドを一度も与えられることもないまま、「もう日本もダメかも」「未来は暗い」とすでに傷つけられているのだ。
~中略~
いずれにしても、上の世代はせめて「ほらすごいだろう?」と大きな宝石やクルマ、数々の表彰状や勲章などを見せびらかしても、若い人は、それがそのひとのプライドに直結していることさえ理解できず、「どうして自慢するのですか?」と途方に暮れるだけ、ということは知っておいたほうがいいのではないだろうか。
若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか
香山リカ (著)
朝日新聞出版 (2012/12/13)
P57
人間は生まれてくる時代を選ぶことができない。
青春という、ものみな萌える成長の年齢に、戦争の時代に出合ったり、不況とデフレスパイラル(デフレにともなう経済の悪循環)の時代に直面したりしたら、さぞ不運なことだろう。
どの時期に青春を過ごすかは、その後のものの見方に、身体化されたといってよいほどの影響を与えるように思える。
わたしたちベビーブーム世代は、成長に対する過信から、時間がたてば事態はいまよりよくなるだろうという、根拠のない信念をもつ傾向がある。
対して、それより30年ほど若い世代は、時間がたてばいまより事態が悪くなるという、ねぶかい不安の感覚をもっているように感じる。
それというのも彼らがものごころついてこのかた、日本はずっと不況とデフレスパイラルを抜け出せず、少子高齢化への道を歩んできたからだ。
彼らがちょうど団塊ジュニア世代にあたることは、偶然の一致とはいえ、なにかの皮肉としか思えない。
楽観的で革新的な親の世代のもとに、不安感が強く守りの姿勢の子ども世代が育ったからだ。
男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P80
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