見せかけの経営効果 [ものの見方、考え方]
「ある経営方針を取った企業のほうが、その後の業績が二〇%高くなった」とするビジネス書を読んだとき、あるいは戦略と企業業績の関係を示した図を見せられたとき、私たちはそれらのデータを盲目的に信じるべきでしょうか。
答えはもうおわかりでしょう。もちろん、ノーです。
よほど統計学に正しい手法を使っていないかぎり、多くの「経営効果」に関するこれらの分析は内因性やモデレーティング効果を考慮していないからです。たとえばある経営方針と業績の関係は別の第三の要因が出発点になっていて、それで見かけ上、経営効果がるあるように見えるだけなのかもしれません。
そしてもしこのような内生性を見逃していれば、それは経営効果が過大評価されている可能性を見逃している、ということなのです。
世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア
入山 章栄 (著)
英治出版 (2012/11/13)
P118
P120
戦略と業績のデータを見せられて、その戦略に経営効果があるという主張を聞かされたときには、内生性やモデレーティング効果を考慮しないことによる「見せかけの効果」を念頭においていたほうがよいということです。
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