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嫉妬することすら諦めた若者 [日本(人)]

 もしいまの若者たちがきたやまし氏(住人注;きたやまおさむ)の推測(住人注;「実際はイチローとか何かに嫉妬している」のに「嫉妬しているのをどこかで感じたくないという意識が働いて、「イチローなんか別に羨ましくないよ」と言っている」) とは違って、「本当に嫉妬しない人たち」だとしたら、彼らは昔に比べてより心が広くなったと考えて、その素直さを手放しで肯定してよいのだろうか。
 きたやま氏も先の本(住人注;「帰れないヨッパライたちへ―生きるための深層心理学 (NHK出版新書 384) 」 )の中で、「嫉妬」はいろいろなトラブルの原因になると同時に、時として自分の成長を妨げることもある、とそのデメリットを指摘している。しかし、一方で、嫉妬は「私たちの閉塞感を生み出す原因になっていると同時に、それを打ち破り、創造的なものを生み出すエネルギーの源にもなる」とも言っているのだ。 自分と同世代で活躍している作家、スポーツ選手などに「わー、すごい!」「マジでリスペクトします」と嫉妬することもなく、拍手を惜しまない若者たちは、ドロドロ、イライラもないかわりに、その閉塞感を打ち破る必要性も感じないのではないだろうか。
あるいは逆に最初から活躍している人、才能に恵まれている人と自分のあいだに「壁」をもうけることで、自分たちが置かれているあまりに不安いっぱいの状況を見ずにすませようとしているのかもしれない。

P69
 では、彼らは自分のコンプレックスとどうやってつき合おうとするのだろうか。
 学生たちに聞くと、いちばん多いのは「そういう自分を”これでいいんだ”と受け入れる」「自分なりの良さを認める」という声だ。
 つまり、無理せずに欠点があるままの自分をそっと認め、「何としても自分をよく見せよう」などとは考えない。まして、「他人を利用し、他人を自分の”信者”にしたてあげることで、自信を回復させたい」などとは思わない。
 しかし、コンプレックスがあるがままの自分を受け入れる、というのは言うほど簡単なことではない。

若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか
香山リカ (著)
朝日新聞出版 (2012/12/13)
P63

IMG_0028 (Small).JPG文殊仙寺


タグ:香山リカ
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