人を見分けるチカラ [処世]
「人を見たら泥棒と思え」とか「渡る世間は鬼ばかり」とか、日本にもヨーロッパ流の性悪説に基づく諺や言葉が多々あるが、やはり日本人は性善説がすきなようだ。
~中略~
日本では下校時の小学生をねらった痛ましい犯罪が続発しており、その対策が云々されてているというが、いちばんの決め手は、幼いころから子どもに疑う習慣をつけることではないかと思う。
被害にあってからでは遅い。もう日本もそういう世の中になってしまったのだ。そして自分の身を守るのは自分しかいないということを、幼いころから子どもに教えるのが親の務めだろう。
初対面の相手が善人か悪人か見分けることは難しいが、もしかしたらヨーロッパの人たちはその方法を心得ているのかもしれない。
一度も植民地になったことがない日本
デュラン れい子 (著)
講談社 (2007/7/20)
P206
戦国時代の日本をさして「実力主義」というようなことが言われる。家柄や慣例にとらわれない人事があったようにいわれるが、戦国日本が実力主義であった前提には、実は、人間の査定能力ということがよこたわっていた。
戦国を生き抜くために必要な能力を一つだけあげよ、といわれれば、それは、
―人目利き
である。もともと、日本人は「査定」ということが得意ではなく、日本史上、他のことにとらわれず、人の能力を正確に査定して適所に使うということが、うまく行われた時代は少ない。
しかし、戦国や明治など、危機の時代には、日本人にどこからともなく、この能力がわいてくるもののようで、そのときは、にわかに実力主義の時代になった。
殿様の通信簿
磯田 道史 (著)
朝日新聞社 (2006/06)
P122
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